パブリックコメント

内閣府国家戦略室エネルギー・環境会議での原発比率案についてのパブリックコメントの募集がされていて8月12日がしめきりらしいので書いてみた。
募集要項はこちら。
http://www.npu.go.jp/policy/policy09/pdf/20120702/20120702.pdf

そうはいっても野田内閣もそろそろ終わりそうだし、官僚が国民のいうことを聞くわけもないし、意味があるんだかどうだか。とりあえず書いた内容をここにメモしておく。

意見の概要
原発は即刻ゼロにすべきである。その後、安全に運転する体制や技術を整えた後、2030年には15%をめざすべきである。

意見及びその理由
 大震災による原発事故は対策を行っていれば避けられたものだった。対策を行わなかった理由は保安院の「寝た子を起こすな」というものだった。原発の問題はこれをみてもわかるように技術的な問題よりは社会的合意であることがわかる。今回地震対策が不十分だったのは社会的合意リスク回避を技術的リスクより優先した結果起きたものだった。今後も原発のリスクは社会的合意リスクにあることは明らかである。現政権がいかに原発継続体制をつくろうとも、次の選挙で橋下政権が誕生すれば原発はゼロにむけて大きく舵を切るだろう。原子力に依存できるかどうかは選挙の結果に依存する。その意味でもはや原子力依存を続けることは不可能だ。
 一方、天然ガスは今後供給が増加すると言われているが石油ピークはすでにきたといわれており、長期的なエネルギー供給には不安がある。再生可能エネルギーメタンハイドレート開発は期待できるが、期待だけで終わる可能性もある。その意味で原子力という選択肢があると助かるのは確かである。
 エネルギーとしてはあったほうがいいが、社会的合意は得られない今の状況を打破する方法はあるだろうか。今政府は将来的に原発ゼロとか再稼動の原発を最小限にすることで世間のご機嫌をとっているように見える。しかしその態度には原理原則がない。この延長上に社会的合意が得られることは絶対に無い。
 今回事故を起こした電力会社、政府、保安院原発を動かす資格がないのは明らかだ。原理原則で動くならこれまで原発を動かしてきた組織が原発を動かすことは禁止すべきである。そしてそれにかわる原発を安全に動かせる組織や体制を構築しなければならない。そしてあらたな組織や体制が安全に原発をうごかせることを世間に証明してはじめて原発の社会的合意ができる可能性が生まれるのだ。つまり新たな原発を動かす組織、体制ができるまでは原発はとめるべきなのである。
 あらたな原発用組織、体制が社会的合意を得ればその後は安全を前提に原発をできるだけ長く動かしたほうが効率的だ。当然安全を前提にすれば古い原発活断層の疑いがある原発は即刻廃炉にする必要があるだろうから、原発依存度が現状どおりということはありえない。15%程度が妥当なところだろう。
 今は円高であり、火力が増えても経済的損失は少ない。将来的に原発をゼロにするよりは今原発をゼロにし、社会的合意を得ることに全力を注ぎ、円安、エネルギー高が進むと見られる将来に原発を動かすことにしたほうがりこうな選択である。
 なお、それをせずに今のまま原理原則なしで社会的合意がとれたような格好をして原発を動かしていくようであれば、それは危険な選択であり、同様な事故がまた起こる可能性があるので、そのような危険な原発はなるべく早くゼロにしたほうが良い。電気は値上がりするかもしれないが、日本は将来的に電気を大量に使うような産業で稼ぐより、知的生産性を高めた産業を育成すべきなのである。
 とにかくもっとも必要なことは原発に関して原理原則に従う姿勢を作ることであり、そしてそれは現時点で原発再稼動を認めないことなのである。