「あなたへ」

小説を読んでから映画を見た。この手の映画は普通見ないのだが、たまたま手元に本があったのとNHKの番組をたまたま見たので読んだり見たりすることになった。
 小説はまあまあ面白い。犯罪者がそんなに声をかけるもんかと思ったが、顔見知りとすれば不思議はない。イカ売り営業マンのからみが弱くて不満だとか、退職するより戻ったほうが面白いかもと思ったりするが、まあ普通の小説の感想の範囲内。読んでから実は映画の脚本が原作だと知った。だったらやはり映画もみてみるかと思ってみたのだが・・・
 高倉健は63の役をやるには歳を取りすぎている。小説に無い妻の思いでシーンが多すぎるし効果的とは思えない。たけしは存在感がないしどういう犯罪者なのか映画ではわからない。小説ではメインテーマになっている長崎で受け取る手紙が映画ではさようならだけになっちゃってるし、それを風に飛ばすというのも理解不能。小説では題名の「あなたへ」の意味が懇切丁寧に説明されているが、映画ではこれでわかるのか。小説は映画が原作のはずなのになぜこんなに違うのか。
 映画は自分の感覚とは大きく違う。小説を読めば映画をみる必要はまったくない。映画だけ見た人はかわいそう。こんなのを評価する人の気が知れない。

あなたへ (幻冬舎文庫)

あなたへ (幻冬舎文庫)