原子力規制委員会

原子力規制委員会が安全基準骨子を発表し、新聞で読んだが、もっともなものばかりだ。というか、今までこんなこともやっていなかったのかという驚きのほうが大きい。今のところ規制委は自分が考える理想の線を走っている。このまま行けば原子力はいずれ信頼を取り戻し、日本の基幹エネルギーに復帰するかも知れない。それがいいことかどうかはまた別の話だが、とにかく原子力が動くとすれば社会的に認められて動くという状態にはなるだろう。寝た子を起こすなではなくて、ちゃんと覚醒した大人が認めて動かすという状態だ。原子力に対する根本的な問いはまた別に並行して考えれば良い。
ところでこの(今のところ)素晴らしき規制委員会についての説明をエネルギー問題に発言する会というところで読める。
http://www.engy-sqr.com/lecture/document/zadannkaigijiroku20130122.pdf
http://www.engy-sqr.com/lecture/document/zadannkaisiryou20130122nisiwaki.pdf
民主党の政府案は新しい規制機関を環境省に設けるものだったが、権限は環境省文科省原子力委員会などに分散しており、実効性は疑われる。自公案は規制委を各省庁から独立させた上でこれまで文科省等にあった権限もすべて規制委院長に集中させ、総理大臣も口出しできなくなった。この自公案を民主がまるのみして成立させた。今の規制委はそれほど強力なのだ。
おもしろいのはここまで理想的な権限集中ができたのは自公が野党だったからという指摘。官僚は政権党につかざるを得ず、自公案には口出しできなかった。そのため自公案はあらゆる省益などの事情を排除することができた。民主党は逆説的だが自公案をまるのみすることにより脱官僚を実現させたのだ。なかなか見事な政治家の連係プレーである。
原発事故は残念なことだし、その後の対応もなにが正しかったのか未だに見えないところも多いが、それをきっかけにしてできた原子力規制委員会は多くの与野党の政治家、いくつもの調査委員会等多くの人が協力して産み出した稀有ともいえる珠玉の名作と言えるだろう。もちろんこの先どうなるかわからないが、自民党も人をすげ替えるようなことはしないようだし、大いに期待したい。そして前に書いたようなことになることを望む。
http://d.hatena.ne.jp/vaceba/20120501/1335838117