石油代替としての再生可能エネルギー

原発の代替を再生可能エネルギーでという意見があるが、それは無理だという人も多い。現実には原発の代替は火力である。再生可能エネルギーは火力発電の燃料を多少減らす効果は持つが、減った燃料代より再生可能エネルギーの電力コストは高いので、原子力や火力から再生可能エネルギーに置き換えが進むほど電力価格は高くなる。それは社会全体の高コスト化をまねき問題となる。しかしもし再生可能エネルギーの用途を火力代替ではなくて石油代替と考えれば必ずしもそうとは言えない。
普通の自動車はガソリン価格140円、燃費14km/Lとして1kmあたり10円で走る。電気自動車はリーフの電費は7km/kWhと言われているので普通の自動車と同じコストをかけてよければ1kWhあたり70円でもよいことになる。ガソリン価格のうち半分が税金だったとしても35円/kWhで走行コストは同じになる。実際には最も高い太陽光発電でもいまや設置費用47万円/kWと言われているので24円/kWh程度のコストになっている。メガソーラーが増えた分電気自動車を増やせば電気代以上の石油を減らすことができ、社会全体のコストとしては減ることになる。
暖房についてはどうだろうか。石油ストーブ効率100%、エアコンCOP5とすると灯油1Lで10kWhの熱を発熱するとすると同じ熱をエアコンなら2kWhの電気で暖房できる。灯油1L100円とすると電気代は50円で同等だ。COP3としても30円/kWhで同等。やはりこれも同じようにメガソーラーが増えた分エアコンやエコキュートを増やせば再生可能エネルギーを使った高い電気であっても電気代以上の石油を減らすことができ、社会全体としてはコストは減らせることになる。
これまで石油で行ってきたことを電気に置き換えることで社会全体のコストは低減し、純国産エネルギーの比率は高まり、エネルギー安全保障の点からも、温暖化ガス排出量削減の点からも望ましい姿に変わっていくことができる。