電力自由化

自民党電力自由化を決定した。原発が動かず、電力不足のなかで自由化などすると電気は高くなるし、停電が起きると電力会社は反対している。電力不足で自由化すると確かに電気は高くなるだろうしおそらく時間帯によって変動することにもなるだろう。今でもピークシフトプランでは夏季の13時〜16時は53円だ。そうするとこの時間に多く発電する太陽光は導入しやすくなるし、固定買取制度がなくても売価買取にしてもらえば今より儲かることにもなるかも知れない。また、停電の可能性が高まれば売れる形での自家発電装置を導入する動機にもなる。電気が高くなればそんな感じでいずれ電力不足は解消するだろう。今日の読売に「ドイツ電力供給綱渡り」という記事が載っていて、電力が足りないのかと思ったら、発電されすぎて困るというような話だった。記事が指摘するような電力需給調整は自由化による価格メカニズムを取り入れたほうがやりやすくなるだろう。
逆に自由化により競争が進んで電力が安くなるとそれはそれでいいことだ。しかしその場合、コスト高の再生可能エネルギーは苦しくなって固定価格買取制度がないと導入は難しくなるだろう。固定価格買取制度は電力を高くすることになるのであまり長くやると批判があるかも知れない。炭素税を上げて火力導入を制限するという方法もあるかも。どっちにしても二酸化炭素を本気で削減しようと思ったらある程度のコストはかける必要があるだろう。
さて、自由化と原発はどう考えればいいのだろうか。原発により低コストで二酸化炭素を出さない発電をされたら他の電源は太刀打ちできないし、新規参入も簡単にはできないから上記の自由化効果はあまり出てこなくなるだろう。一方、事故が起きたら10兆円の損害を出す原発はリスクが大きすぎて民間では対応しきれないことは明白だ。結局国家が補償するようなものの電気を自由化市場に投入するのは問題があるだろう。原発に関しては自由化とどうからむのか制度設計は難しい。ひとつの解は保険だろう。10兆円の保険を政府が引き受けて保険料をとることで自由競争に参加させる。保険料が0.2%としたら1000億円だが、これは1kWhあたり4円程度に相当する。それ以外にも廃炉とか廃棄物処分の費用をどうするか等自由化にはそぐわない話が原発には多い。原発は全部一旦政府に移管するというのが解決策のひとつではあるが。