そして需給調整

電力システムの安定の優先度を下げて再生可能エネルギーを大量導入することが避けられないとなると供給が不安定になるので需要の調整も必要になってくる。その一つの手段が需給状況に応じて電力料金を変化させるものであり、供給が多いときには電力料金はただ同然となり、少ないときには高騰することになる。利用者側では安いときに湯を沸かして貯めておいたり、高騰したときには使わないなどするから需給は多少調整されることになり、うまく使えばかえって電力費用は安上がりにすることもできるだろう。困るのは供給者側であり、せっかく大枚はたいて発電設備を導入してもただ同然でしか売れなかったらもとがとれない。豊作貧乏というやつである。そうなると誰も発電設備に投資できなくなる。やはり電力価格に関わらず売電量に比例して収入を保証するFIT制度はいつまでたっても必要になるだろう。一方、需給を最終調整する火力発電は再生可能エネルギーが増えるほど稼動が下がるのでそれこそ元が取れる見込みがなくなってくる。これも稼働率が下がるほど電力を高く買い取ることが必要になるだろう。すると電力収入と電力費用に乖離が生ずる。それをどこからか調達する必要がある。それが電力に付随する税金になるのか電力料金の付加金になるのかあるいは炭素税など別からとってきたものになるのか。また、世界の中で一国が進みすぎると、平然と安いシェールガスを使い続けるような国との差が大きくなりすぎる。部分最適を求めすぎるのは問題だが忘れても困るのだ。やっぱりいろいろ考えても難しいね。
余った電気をただ同然で売りさばこうとするからそういうことになる。そうでなくて余った電気から水素、メタン、メタノールを生成し、燃料電池や他の燃料など用に売ればいいわけだ。そうすれば電気はそっちに売ればいいので不当に安くする必要はない。しかしそれを買う側の工場が電気が余るときしか稼動しないようではできた水素、メタン等は相当高くついてしまう。不安定なエネルギーは何かにつけて高くつく。温暖化の被害とてんびんにかけ、それを我慢すべきものだと説明するのは容易ではない。