海水ウラン情報

海水ウランは抽出に成功したし、コスト試算では3万円/kg程度という論文はあるのだが、エネルギー収支の報告は見つからず、というか実際に稼働もしてないので計算もできないだろうが、エネルギー源としてどこまで期待できるものなのだろうか。
海水からのウランの回収 (04-02-01-12) - ATOMICA -
通常ウランのコストが6000円/kgのところ、海水ウランは32000円/kgとのこと。ウラン1kgで50000kWh発電できるようなので(前に200kWh/gと書いたのは間違い)現状0.12円/kWhのコストが0.64円/kWhに上昇する。その差0.52円/kWhで電力価格からみれば大したことが無いように思える。海水ウランはどのように評価されているのだろうか。
http://jolissrch-inter.tokai-sc.jaea.go.jp/pdfdata/JAEA-Research-2015-023.pdf潜在的有害度の発生を抑える新型高温ガス炉の研究
もともと海水ウランの論文ではないが、海水ウランについて世界需要の84%が日本だけで採れるとか、コストが通常ウランより安くなるとか書かれており、非常に高い評価の記述がある。(35p)
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2003/siryo25/siryo1.pdf核燃料サイクルについて
ちょっと古い(平成15年)がほかならぬ原子力員会のQ&A。質問3−7に海水ウランもあるのだからプルトニウムにこだわる理由があるかとのまさにずばりの質問。それについての答えはコストが鉱山ウランの10倍にもなるから難しいとのことだが(148p)、上の計算でもわかるように答えにならない。特にウラン枯渇の場合に備える再処理の脈絡ではこの理由では答えにならない。苦しい答弁だ。
https://www.jaea.go.jp/02/tei120807/3-siryou-120214.pdfサイクル勉強会平成 24 年 2 月 14 日(火)配布資料
原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会の勉強会の資料のようだが、なかなか面白い資料で43p、48p、51pに「山名委員の指摘により・・・海水ウランはカットになった」とのコメントがある。山名委員とは山名元原子力損害賠償・廃炉等支援機構理事長のことだろう。再処理派の人には海水ウランはやっかいな存在のようである。
http://www.enercon.jp/%E6%9C%AA%E5%88%86%E9%A1%9E/10425/
核燃料サイクルの目的は何か
日本では核燃料サイクル政策を守るために、海水ウラン回収の研究費が打ち切られたらしい。再処理の意義は無資源国日本で自国産エネルギーを確保するためではなかったのか。こういうのを本末転倒と言わずしてなんというのか。それというのも青森県福井県を怒らせないためであり、その目的は原発を稼働することだ。原発は日本の純国産エネルギー開発を邪魔する存在なのだ。