「英原発建設中断の日立、推進派・中西会長の警鐘(日経ビジネス)」

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 震災後、国民の原発嫌い、再エネ好きは明らかなのに、政府・電力は原発好き、再エネ嫌いだからいつか行き詰ることは明らか。「好き嫌いでなく議論すべき」は全くその通り。

 もう一つ、政府・電力の再処理好き、国民の再処理嫌いもある。そこからはずれたところに海水ウランがある。海水ウランを使えば原子力も再エネの仲間入り。加えて純国産エネルギーで枯渇の心配も無い。変動再エネの対策にもなる。これだけメリットがあれば反対の人の何割かは賛成するだろう。

 なぜ政府・電力がもんじゅが終わっても再処理路線を変更できないのか。それは変更したとたんに廃棄物の行き先がなくなって既存原発が止まり、青森と原発自治体との闘争が発生するからだ。つまり再稼働を維持するためには再処理の名目が必要なのだ。

 海水ウランにはいろんな可能性があるが、海水ウランが実用化すると再処理の理由がなくなるので再処理を名目だけでも維持したい政府・電力にとっては海水ウランは邪魔な存在だ。しかしそれって、原発の再エネ化も純国産エネルギー自給の道も絶つ日本にとって良くない選択だ。

 再稼働しているのは震災前の1/5。電力の1/15、エネルギーの1/60しか供給しない。しかも寿命も短い。そんなものを優先するために再エネと原発によるエネルギー完全自給の夢を断つなんて本末転倒もいいところ。政府・電力はいったい誰のために仕事をしているのか。

 海水ウランに加えて原発ゾーニングをすれば国民に原発が受け入れられる可能性は高くなると思うが、政府・電力は再稼働を優先するためそういう別路線には進めない。その結果新設はできず、脱原発は確定的だ。ほんとにいったい誰のためにそんな路線を守っているのだろうか。

 結局、今の再稼働路線は海水ウランもつぶし、原発新設もつぶし、しかもエネルギー的にはほとんど足しにならない最悪の手だ。国民のためにもならず、日本のためにもならず、原発メーカーのためにもならず、原発技術のためにもならない。唯一、電力会社だけが過去の遺物で発電できるから儲かる。

 震災後、電力会社の力は弱まったように見えたが、やはり今でも電力会社は強いのだ。原発事故でもそうだが、哲学の無い電力会社が強いと日本はつぶれることになる。早く発送電完全分離をして電力会社を分割すべき。

 原発が今後どうなろうとも、将来的に確実なのは再エネの活用だ。投資回収が終わった再エネは燃料費ゼロだからコスト的に最強。変動対策はいろいろあるし、余ったら捨てても損は出ない。大手電力がこのまま人気を落とせば国民は再エネで自立を目指すだろう。

 大手電力は原発の寿命がくるころにはCO2の問題で火力も発電できなくなる。しかもそのころには再エネによる自立が進んで送配電網の利用も少なくなる。つまり儲け口がなくなる。大手電力は原発とともに滅ぶ。

 特に何もしなくても今のままいけば自動的にそうなる。火力が急速になくなっていくときに問題がなければそれもいい。しかし、海水ウランとゾーニング原子力の復活を目指したっていいのではないか。そのためには再稼働をあきらめ、再処理をあきらめることがまず必要。

 結局のところ日本にその決断はできないだろう。残念ながら海水ウランを活用した未来は来ない。メーカーは国内新設も海外案件も無く、事業部は縮小、技術者は四散、サプライチェーンは崩壊、廃炉と廃棄物処分のみ残る。

 日本の原子力の歴史は事実上終わった。残念でした。