効率は悪い方がいい?

世の中これまではいろんな機器が節電やエネルギー消費を減らすために効率向上を追求してきた。車の燃費などがそうだし、LED照明もそうだし、エコキュートなどのヒートポンプもそうだ。その方が少ないエネルギーでより大きな効果(走行距離、照度、温水量)が得られるわけだから効率向上はいい方がいいことに決まっていた。エコキュートなど消費した電気エネルギーの3倍の熱を作れる魔法のような機械だ。

ところが、今後太陽光や風力などの変動性の再エネが普及するとその変動対策が重要になる。不足の場合は別の電源で補うしかないが、増えすぎの心配もしなくてはならない。そのときにエコキュートなどの蓄熱システムはいつ電気を使ってもいいので再エネが増えすぎたときに消費する需要調整手段となりうる。

その場合、エコキュートだと電気エネルギーの3倍の熱を貯められるわけだが、増えすぎた電力を消費するためなら効率300%のヒートポンプより効率90%の電熱ヒーターの方が効率が悪くて消費電力は大きくなる。その方が増えすぎた再エネの電気を少ない電熱器の制御で調整できるので効果的。つまり電力需給調整効率と機器の効率は相反することになる。

需要調整が一般的になると効率の概念は変わり、調整効率がいいもの=より消費電力の大きいもの=エネルギー効率の悪いものが好まれるようになってくるかも知れない。