「あの頃、君を追いかけた」(映画)

飛行機の中で見たのだが、学校のあこがれの女生徒と男子バカ5人組がいて一人がうまくいきかけるのだが、結局その女の子は関係ない人と結婚してしまうという話で、いったいなにが面白いのかわからなかった。いったい、こんな映画誰が見るのかと思って帰ってネットで調べたら、乃木坂の子がヒロインなので乃木坂ファンのための映画のようだ。なるほどと思ったが、これは台湾の大ヒット映画のリメイク版とのこと。台湾の元映画がyoutubeで全編でていたので見てみた。日本語字幕がなく、中国語字幕はあるが意味は分からない。しかし、日本の映画は台湾の元映画をカット割りなども含め非常に忠実にリメイクしていてあらすじはだいたいわかる。最後までみたら面白かった。


那些年 我们一起追的女孩

この映画のテーマは女性は大人になり、男はなかなか大人にならないということだ。だからヒロインが大人っぽく、ヒーローは子供っぽく見せるのがポイント。日本の映画はヒーローが大人っぽくヒロインが子供っぽいのでうまくいかない。台湾の映画はやはり女優が魅力的。女優の魅力は美人かどうかではないことがよくわかる。最初は美人でもないし、にくったらしいとも不細工とも見えるのだが、二人がうまくいくようになった頃はびっくりするほどかわいく美しく魅力的。画面の作り方もうまい。そして自分の意思と分別を持ったしっかりした女性に描かれている。一方、男はかっこいいところをちらりと見せてそれなりに魅力はあるのだが、いかにもバカで分別がない感じに描かれていて、男と女の対比がうまくいっている。

そしてこの映画のもう一つのテーマは激しい後悔の念だ。男は実は監督でもある原作者自身。もしあのとき自分がもう少し大人であったなら、相思相愛でうまくいっていたはずの二人には幸せな未来が待っていたはずなのに、という強烈な後悔の念が台湾の映画からは伝わってくる。もしあのとき男がちょっと大人になっていた並行宇宙では二人は幸せに暮らしているに違いない。しかし現宇宙ではそれは無い。それが青春。ということで青春映画として成功している。日本の映画ではそれがまったく伝わってこなかった。たぶん男が大人すぎるのだ。

とは言え、この二人が仮に結婚したとしてもうまくいかなかったのではとも思う。女性は男のバカさ加減に始終腹を立てていなくてはいけなくなるだろう。それはそれで幸せなのかも知れないが。それより、もっと普通の相手と結婚して普通の生活をする方が普通に幸せになれそうだ。結局二つの人生を生きることはできないからどっちが幸せかなんて比較することはできない・・・なんてことを想像してしまうくらい台湾の映画は面白い。

カット割りも絵作りもほぼ同じように作られていてもこれだけ違うんだから映画というのは微妙なものだ。伝えたい世界が伝わるかどうかはちょっとした表情一つで左右される。