「あの頃、君を追いかけた」その他いろいろ


映画『あの頃、君を追いかけた』予告編

ヒロイン、チアイーを演じたミシェル・チェンは公開当時28歳、撮影時は27歳くらいだろう。高校生を演じる年齢ではないが、最後の結婚式のシーンにちょうどいい年齢。もちろん映画ではそんなことを微塵も感じさせない。自分はポニーテールにそれほど興味は無いが、ネットの感想を見てもチアイーがポニーテールにするシーンは多くの男子の心をつかみ、ミシェル・チェンは大ブレークし「初恋の女神」と呼ばれるようになったらしい。その女神が2016年に中国の俳優とおめでた婚をして女神信者がショックを受けているというネット記事がいっぱいある。一般的評価は別にしてもヒロインはほんとにかわいい。美人顔ではなく、どこにでもいそうな感じなのに笑顔とかちょっと不安げな顔などにぐっとくる。言葉のわからないyoutube版を見ても面白いと思ったのはミシェルがかわいかったから。この映画の魅力の99%はミシェル・チェンと言っているひともいるが、自分も賛同するかな。年齢的にも女子高生役はこの作品が最後だろう。その意味でもこの作品はお宝。

主人公、コートンを演じたクー・チェンドンは公開当時20歳。撮影時は19歳くらいだろう。この映画にちょうどいい年齢。ヒロインを演じたミシェルチェンとは8歳も年下だ。しかしこの映画は女子が先に大人になり、男子はなかなか大人にならないという映画だから、見た目しっかりしている女子役とちょっと危なそうな男子役にはこれがちょうどいい配役だ。妙に自信家なところもなんだかいじけているところもよく似合っている。女子から見ると「かわいい」男子であるようだ。ギデンズ・コー監督は先にミシェル・チェンを決めて男子役候補二人のうちから好きになるならどっち?と聞いてミシェルチェンに選ばせたそうだ。リアルチアイーもコートン役は正解と評価していたらしい。

そう、この作品の面白いところはリアルチアイーが存在しているところだ。映画の主人公のコートンは監督の本名、チアイーもそのころ監督が追っかけていた人の本名(映画では漢字は替えたようだが読みは同じらしい)。のだめカンタービレののだめもモデルになったリアルのだめこと「野田恵」さんがいるらしいが、作品ののだめはリアルなのだめを表現したものではない。しかし、この作品においてチアイーはリアルチアイーを表現したものだ。それが作品のチアイーの存在感を増す。リアルチアイーは台湾で学校の先生をしているらしい。ネットではリアルチアイーらしい写真も出回っている。気品があってお堅い感じ。

監督はミシェルチェンにはほとんど演技指導を行わず、逆にチアイーだったらどう思うかを考えて演技してくれと頼んだそうだ。監督は自分がどう考えていたかはわかるが本当のチアイーが当時何を考えていたかはいまだにわからない。だから想像するしかないが、想像するならその役をやっている女優に想像してもらった方がよりリアルになると思ったのだろう。だからあのチアイーはミシェルの作品でもあるのだ。そして大成功。

監督本人はチアイーの結婚から12年後の2017年に12歳年下のキャスターの女性と結婚したようだ。

日本の映画の配役は主人公役の山田裕貴が27歳、ヒロイン齋藤飛鳥が19歳。台湾とは年齢的に完全逆パターン。それで女子が先に大人になるというのは無理。もちろん演技がうまければそうとは限らないけど現役の乃木坂の子に演技を期待するのも無理。明らかに配役が間違っている。そのくせ、映画はリメイクというよりはコピー。カット割りも構図もそうだし、日本では見たことない名前を刺しゅうした制服とか、日本ではありえない卒業時の海遊びとか、まだつきあってもいないカップルにはありえない台湾でのデートまでオリジナルと同じで言葉と出演者だけ違うと言う作りなのに配役を誤ったら失敗は明らか。おまけにオリジナルにはあるパロディは無し。いいところなし。本当に残念な映画。小説は読んだのだろうか。小説と映画でこんなに違うのに映画をこれだけ完コピする必要もないと思うのだが。それがリスク回避になると思ったのだろうか。なんだか怖くて新しいものを産み出せない今の日本を象徴しているようだ。

 

 


映画『あの頃、君を追いかけた』本予告

 


『あの頃、君を追いかけた』“ハッピーエンドの行方バージョン”予告編

 


山田裕貴、齋藤飛鳥 【あの頃、君を追いかけた】 2018 映画予告編


山田裕貴×齋藤飛鳥『あの頃、君を追いかけた』特報映像