「あの頃、君を追いかけた」いろいろ推測

①目は口ほどにものを言う

日本版と台湾版を見比べると「目は口ほどにものを言う」ことを実感する。心の動きの表現は口で言うことよりはるかに目の動きによるところが大きい。チアイー役のミシェルチェンはこの映画の前に「聴説」という映画に出ている。聴覚障害者の役でセリフが一言も無い。手話はあるが心の表現は表情だけで勝負することになる。その映画で主役ではないが最優秀新人賞にノミネートされている。この映画で表情による表現をいろいろ研究したのではなかろうか。それがこの映画の豊かなチアイーの表情に結びついているのではないかと思う。

「聴説」youtubeで全編見れます。中国語・英語字幕付き。

youtu.be

②もうひとつの「君を追いかけた」

ミシェルチェンはすでに結婚して2歳の子がいるが、旦那はチェンシャオという中国の俳優。噂によるとチェンシャオはこの映画を見てミシェルチェンに惚れ、自分がテレビドラマ『神雕侠侶』の主役に抜擢されたときヒロイン小龍女役はミシェルチェンでなければ出ないと強力に推薦というかごり押ししたらしい。「氷のように冷たい絶世の美女」という設定にミシェルチェンが合わないのは明らかだが、この映画で有名になったミシェルチェンを起用すれば視聴率アップになると思ったのか、制作側もそれを受け入れ2013年の年末にかけて撮影が行われた。2014年年末から放送されると予想通り批判の嵐でミシェルチェンは小龍女でなく小籠包と言われてしまった。その半年後くらいに交際のうわさが流れ、2015年8月に交際宣言、2015年10月にプロポーズ、2016年7月に結婚、2016年12月に第一子誕生。チェンシャオ、よく追いかけました。

放送前からこの映画を示すりんごと小龍包で売っているというびっくりな動画

youtu.be

 

③チアイーの心理

リアルチアイーの話。この恋は二人ともほぼゴール地点にいるのに最後の一歩に超奥手で成就しなかった。コートン側は追っかけるにも去るにも理由があるのでまだ納得できるが、チアイー側が追っかけなかった理由はよくわからない。おそらく、李小華の一件が影を落としているのではないか。二人が最初に親密になったのは中2だが、中3のときにコートンは李小華に恋し、高校になっても女子高に行ってしまった李小華をしばらく追いかけている。その追いかける手伝いをチアイーにやらせたりしているのだ。だからそのあとコートンがいくらチアイーを熱心に追いかけてもチアイーはコートンを自分をすきだからだとは思わなかったかも知れない。チアイーはコートンを好きになってはいけないと無意識にブレーキをかけてしまっていたのではないか。7時間の電話でコートンの熱意は十分に伝わったが、それでも高校時代の習慣から抜けられず一歩前に出られなかった。そのかわりと言ってはなんだが、ブレーキがかかった状態だからそんなにコートンに惚れこむわけでもなかったのでは。チアイーから見ればコートンは好きだが、恋というところまでは最後までいかなかったかも。

④挿入歌「孩子氣」

この映画のデートシーンで流れる印象的な曲。なんと歌も作詞も作曲もミシェルチェンとのこと。ミシェルチェンはもともと歌手志望だったが、彼女を見出した敏腕プロデューサーに「あなたはいきなり歌手を目指さないでしばらく修行を積みなさい」と言われて女優となったらしい。小龍包などと言われてしまう顔だからいきなり歌手で売り出すのは難しいと思ったのかも。でもこの映画がヒットし、この曲も評価され、このあとアルバムを売り出し歌手としても認められた。最近ではテレサテン役もやったりしている。めでたしめでたし。それにしても有能な人は何をしても有能。

 

youtu.be