規制委員会の独立

原子力規制委員会は政府から独立した委員会であり、政治の影響は受けないしくみになっている。現在の委員に国会が同意していないという問題が残っているので首をすげ替えられる恐れはある。それはともかく、組織的に独立していても実効のない独立機関は存在している。顕著な例が裁判所だろう。三権独立が憲法に明記されているのに裁判での有罪率は99.8%と、検察の出した結果に印を押すだけの機関と化している。空気を読むのが得意な日本人だから、法律が独立を規定しても空気的に独立していない機関と成り下がる可能性があるのだ。菅元総理などはだから規制委を外国人にやってもらおうなどとも言っている。それもひとつの考え方だ。裁判所も最近今のままではまずいと思ったか、裁判員制度をやりはじめた。そのときどきに選出される一般の人が判断するので検察の空気を読むことは原理的にない制度である。独力で独立を確保することをあきらめた裁判所は一般人の力を借りて検察からの独立を模索し始めた。これは原子力規制委にも応用が効くかも知れない。普通何か問題があれば専門家に諮問するのだが、これを一般人から選んだ委員会に諮問するのだ。ドイツかどこかでこれと似たようなことをやっているようだ。原発に関する倫理委員会というものを一般人から選出された委員で構成して審議し、その結果脱原発が決まったということだ。規制委も自民党の圧力が強まったり、財界の空気が進入するようになったらこういう手法で独立を保つことを考えてもいいかもしれない。