「手にとるように地球温暖化がわかる本」


温暖化の解説本はやたらと不安をあおるようなものだったり、政治問題的な論じ方だったりIPCCの報告の解説だったりしてどうもいまひとつなものが多かったがこの本はよくできている。いろいろな点からみて確かにそうだと同意できるような論法で書かれていてわかりやすく納得しやすい。面白かったのは太陽光発電バイオ燃料の比較。20m2の面積の3kWの太陽光発電パネルで年間発電できるのは3000kWh。これは約300L分の石油エネルギーに匹敵し、この分の火力発電を減らせれば節約できる石油量は900Lにもなる。一方同じ面積でバイオエタノールを作った場合年間約20kgのとうもろこしが栽培されこれで約8Lのバイオエタノールができる。節約できる石油量は太陽光発電のわずか1%でしかない。実際にはとうもろこしを育てる肥料やとうもろこしをエタノールに変換するために蒸留などでエネルギーが必要なのでバイオエタノールの効率はもっと下がる。世の中は環境問題と言えばバイオエタノールとか燃料電池車とか言っているがたとえそれらが実現しても実際に節約できる量はたいしたことはない。燃費がいい車は距離を乗らないともとがとれないというジレンマを抱えている。それよりは何の手間も要らない太陽光発電や太陽熱温水をたくさん行い、それによって浮いた石油を通常の自動車にまわし、なるべく車には乗らないという方向にした方がバイオエタノール燃料電池車の開発よりもはるかに効率がいい。何も開発しなくても3kWの太陽光発電太陽熱温水器で年間1000L程度の石油が節約できそれで10000kmぐらい走れてしまうのだから。やっぱり環境問題で頼りになるのは太陽以外にはない。