「エンジンのないクルマ」が変える世界


電気自動車をめぐる企業の動きなどを追った本。電気自動車がこれから普及するという前提ならいい本かもしれないが、なぜ電気自動車がHVより良くて将来的に普及すると見込まれるかについてはまったく説得力のある解説はない。電気自動車はHVにくらべ環境性能にすぐれているのは確かだが発電を何によるかでその環境性能は変わるわけなので一概にはいえないはずだ。航続距離やコストは技術の進歩で改善されていくには違いなかろうがそのスピードは過去の事例を見ればきわめて遅く、実用化までまだ時間がかかるようにしか見えない。こういう疑問を解決しないまま未来はバラ色的な本を書くのはどういう神経をしているのだろうか。経歴からみればもちっとまともな人のはずなのだが。まあ、こういう疑問が解決された場合にはこの人の言っていることには価値があるのだろう。