「原発と政治のリアリズム」

キンドルで自分で選んで買って読んだ一冊目。電車の中でいろいろサンプルを読みながら選んで買った。そういうことが電車のなかでできるというのはやはり大きなメリット。3Gにして良かった。さて、本の中身は民主党の元国土交通大臣の馬渕澄夫が原発事故事故処理のために2011年3月末頃から7月頃までの首相補佐官として動いたときのことを書いたもの。やっぱり長年原発安全神話でスポイルされてきた原子力ムラは総じてダメだ。こんなのに原発という危険なものをまかせることはできない。民主党の一人として反省の弁も多いが、なぜか原発を作り事故を起こすような体制を作った自民党への批判はない。まあ、それがあると単なる政治本になってしまうからなくてよかったが。原発事故の批判はその処理に手間取った民主党に向けられることが多いが、真犯人は事故を起こすような原発を導入し、事故を起こすような管理体制を作った自民党だ。この本にも政治家の責任という言い方でかーなり一般化した言い方で指摘があり、その指摘は正しいと思う。菅総理については自身も振り回されたようで批判的だが、そうはいっても最悪シナリオを作り危機感をもってことにあたり、夏までに動かそうとしていた経産省をストレステストでストップし、2年たった今でも原発ゼロが実現できているのは大きな功績だ。やり方がむちゃくちゃだからこそできたことかも知れない。原発問題は感情的反原発派と現実的な再稼動派というように見られることが多いが、現実的に稼動を考えると様々な可能性に備えた安全対策や避難対策、現場作業員の被曝問題、そして廃棄物処理問題など今まで先送りとか無視してきた問題が山積しており稼動が現実的とも思えない。リアリズムというのはそういうことだ。

原発と政治のリアリズム(新潮新書)

原発と政治のリアリズム(新潮新書)