「血族」「続マッハの恐怖」「天平の甍」「国家の品格」


「血族」製薬会社の重役間の殺人事件。製薬会社ができるあたりのエピソードは実話に基づいているらしく面白い。最後犯人がだれかというところはどうも作家自身が迷っているようで必然性が感じられない。
「続マッハの恐怖」飛行機事故のノンフィクションで有名な柳田邦夫の本。この人はただのNHK記者であったようだ。取材によりその道の専門家みたくなってしまったようだ。その取材の結果をまとめたものだがまさしくこれはミステリーである。そして本当のことは誰にもわからない。それにしてもばんだい号事故で事故調査委員会が多くの目撃証言をまったく無視する報告書を作ったのには笑ってしまった。思い込みに反する事実はそれを無視しやすいというのは日本人の特性なのだろうか。そんなことだから独創性が評価されず戦争にやみくもに走ったりするのだろう。
天平の甍」鑑真和尚を連れ帰る遣唐使の話。あの時代海を渡るのは本当に大変なことだったようだ。遣唐使も一度行ったら帰るのは何十年後という感じ。一方広い中国大陸を陸路でわたる苦労は作品からはほとんどないように感じる。そういうものなのか?
国家の品格」名前はものものしいが講演を本にしたものなので大変読みやすい。書いているのは数学者で中身は現在の世の中は論理で動いているようであるが論理では人間は救えないということである。そこで著者の出す回答は武士道精神。つまり精神性の復活である。面白いことにこの人は日本人に独創性がないなんていっているやつは馬鹿だといっている(表現はこんなではないが)。なぜなら文学、数学の世界では歴史的に見て日本はいつでも世界のトップクラスだそうである。数学にノーベル賞があれば20は固いそうだ。あと、天才はかならず美しい地方から生まれるともいっている。最近の風潮とは一線を画す面白い本であった。