電気自動車はエコか


ネットのあるコラムに給付金2兆円を電気自動車の普及に向ければ200万円の助成を100万台分可能だという話があった。なるほど。CO2を家庭でもっとも多く出すのは車なのでこれを電気自動車にすれば太陽光に投資するより効率よくCO2を削減できるかもしれない。では削減量を計算してみよう。
 燃費10km/Lの車で年間10000kmのれば年間で消費するガソリン量は1000Lである。この条件を電気自動車に替えてみよう。洞爺湖サミットの時のイベントで電気自動車R1eが約860kmの距離を86kWhの電気で走破したそうである。1kWhあたり10kmである。おそらくこれはチャンピオンデータに近く、長距離だし、長期間使用の劣化等もあるだろうから燃費をその半分の1kWhあたり5kmと仮定しよう。10000kmの走行には2000kWh必要。発電送電効率1/3として発電所ではその3倍の6000kWhが必要。これはガソリン約600L分のエネルギーである。ということはガソリン換算で40%減となる。燃費に換算すれば16.7km/L。これをエコというかどうかだが・・・もともと電気自動車でないR1の燃費はカタログ値で24km/L、実燃費をその3/4とすれば18km/L程度いくのではないか。つまりわざわざ電気自動車に変えなくても単にR1に変えればいいだけ。電気自動車のメリットはない。もし1kWhあたり10kmをいつでも維持できれば燃費は上記の半分になり300Lの節約になる。それにしても前の計算で200万の補助金でつく太陽光発電が削減するエネルギーは年間480L相当だから補助するなら太陽光発電に軍配が上がる。太陽熱温水器ならさらに削減効率は良い。なお、上記は電気を火力で起こした場合だが原子力ならCO2の削減にはなる。しかし電気自動車を買ったからって原子力発電所がその分増えるわけではないので当面は上記があてはまるだろう。原子力発電所が増えない限り電気自動車のメリットはない。

太陽光発電装置を導入する人にはもれなく電気自動車がついてくる」キャンペーンをやったらどうなのだろう。その場合太陽光発電の電気をそのまま電気自動車に供給することができる。3kWの太陽光発電装置は年間3000kWhの電気を作ることができ、上記計算では電気自動車が年間必要とするのは2000kWhだから十分間に合っておつりがくる。そうすると車にかけている1000Lがまるまる削減できる。さらに1000kWhのおつりにより300L削減できる。さらに車を使わない日には車の充電器を使って深夜電力を貯め、日中売電できれば1日10kWhそれをやったとして3Lの削減、年間50日やれば150Lの削減が可能である。全部合わせて1450Lの削減。1世帯400万の補助で50万世帯にこれを行うと7億2500万Lの削減!
 あれ、前の計算の合計17憶Lよりだいぶ少ない。やはりいろいろ工夫しても電気自動車に補助するより太陽光発電太陽熱温水器にお金をかけたほうが効率がいいようである。残念ながら電気自動車は使えない。買い換えるならヴィッツやフィット、あるいはプリウスインサイトであろう。

三菱のページには電気自動車アイミーブは通常のガソリン車の30%しかCO2を出さないとある。これはうそを言っているのだろうか。上記燃費を半分にせずに1kWhあたり10km走ると計算すれば、発電所では3kWhのエネルギー、ガソリンにすれば約0.3Lで10km走るわけだからガソリン1Lあたりの燃費は33kmとなる。これはガソリン車の約2倍。CO2排出係数で計算するとガソリンは1Lで2.3kgCO2を出す。つまりアイのガソリン車は1kmあたり2.3/18.4=125g。一方電気は1kWhあたり0.39kgCO2を出す。つまりアイミーブは1kmあたり0.39/10=39gしかCO2をださない。ガソリン車の約1/3である。つまり三菱のページはうそを言っていない。しかし、上記燃費計算では燃費33kmだからカタログ値だけみればプリウスインサイトと同等か悪いくらいである。しかも、上記燃費とCO2排出量の差は原発や水力などCO2を出さない発電方式に由来する。CO2をださいない発電は当然ながらそういう発電所の数に比例するものであって電気自動車の数に比例するものではない。CO2を30%しかださないというのは計算上正しくても実質的な意味からいえばプリウスよりも少ないとは言えないのだ。

3.Vn小島
投稿日:2008/12/13 17:55
田代さん,こんにちは,
車の屋根に太陽電池をしきつめるのはいかがでしょうか.
太陽電池で発電してモーターを回すのでは,まともに
車が走るとは思えませんが,駐車中に太陽電池で発電して
大容量バッテリーに逐電すれば,10Kmぐらい走れる
ような気がするので,通勤用のマイカーには好適な
システムになるかもしれないです.
プリウス太陽電池をつける実験をやった人はいるらしい
ですが,うまく行ったのかどうか聞いていませんか?

4.vaceba
投稿日:2008/12/14 10:05
>>3
こんにちは。
では計算してみましょうか。車の大きさが1.7m×4mとして約7m2。その70%の面積に太陽電池をつけたとしましょう。その太陽電池を太陽の方に向けた場合降り注ぐ太陽エネルギーは5kW。太陽電池の効率を現在最高の20%のものをつけたとして1kWの太陽電池ということになります。太陽の方向に向けた場合これにより1日最大4.5kWhの発電ができますが実際には太陽に向けられず水平置きでしょうから緯度35度としてその45%、2kWhの発電量になります。1kWhあたり10km走る電気自動車ならこれで20km走れます。これは完全なエコカーですね。でも雨の日は走れません。屋根付駐車場にも入れられない。価格も家屋の屋根用が1kW70万円とかするので車用なら+100万円程度はするでしょう。10年乗ったとして発電総量は最大でも4500kWh程度。これを電気で普通に購入すれば約10万円。もし深夜電力ならわずか3万円。経済的にはまったく見合わないでしょう。