「国家の品格」


これを読むのは2度目。たまたま手元にあったので読んでみた。すると偶然最近読んだ2冊の本とほぼ内容が重なることに初めて気がついた。「国家の品格」も「年収120万円時代」もこのところ世界を席巻した新自由主義経済学を糾弾しているのだ。つまり弱肉強食の世の中はよくないということである。世界が弱肉強食で、日本が弱肉強食でなければ経済的に生き残れないとしても経済は横においておいて、人間に大切な情緒や美意識などを大切にしたほうがいいということなのだ。最初読んだ時は気がつかなかったがデリバティブ商品の危険と崩壊と予言している。今まさに予言したとおりになっている。まさに今読むべき本なのかもしれない。この本が目指しているのは武士道精神ということである。要は戦前や江戸時代にあった日本人の求道精神を呼び戻せということだ。そういった精神で主観的なものはいくらでもあるが、客観的なものとして「菊と刀」は面白い。「国家の品格」で自由というのはあるべきものではないと主張していて、これはとても現代人には極論としてそう簡単に受け入れられないように思うのだが、「菊と刀」を読むと日本人は子供と老人はアメリカ人より自由だが、一般成人には自由というものはないみたいな記述があってなるほどこういうことかと思う。日本人なら自由がないというのは感覚的には当たり前のことなのだ。一般成人は義理や人情で身動きがとれないということである。昔はそれで当たり前だったのだが自由といいだして義理も人情も無視する非常識な輩が多くなったというのが「国家の品格」の主張だ。つまりこの本は国際人のはなしなどしているが実はとてもとても日本的な主張をしている本なのだ。まあとにかく面白い本である。今を機会に日本も変われればいいのかもしれない。