「原発の闇」

新聞赤旗編集部の本。識者といわれる人たちはたいてい赤旗はとっているといううわさだ。それは隠れ共産党とかという意味ではなく、一般紙が記者クラブにより官僚の広報新聞となっていたり、東京電力の宣伝費が欲しかったりして一般紙にはなかなか書いてないことが赤旗には書いてあるからだ。もちろん赤旗共産党の広報紙だからそういう目で見なければならないが、新聞の意思というものは何を載せるかより何を載せないかの方に明確に現れるものだから、何が載っていないかを見るためには一般紙とは記事を載せない理由が明らかに違う別な新聞と比べる必要がある。ところが日本の一般紙は記者クラブにより横並びでほとんど記事を選択する動機が同じである。よって比較する新聞は赤旗が最適なのだ。とはいえ私は赤旗をとったことはないが。私は識者ではないので(指揮者ではあったりするが)。この「原発の闇」という本も赤旗の連載を本にしたもののようだ。話し言葉のようなスタイルで平易に書いてあるが、いかにも現政府を批判する書き方ですんなり受け入れられるものではない。しかしながら実際に全電源喪失事故の危険性を国会で明確に指摘しでたらめ委員長の明らかにダメな答弁を引き出したのは共産党だ。視点は明らかに違っていて中には新聞にはのらないようなことも書いてあり参考になる。本終了後に共産党の見解として原発に対する考え方やいかに脱原発を進めるかというものが載っていてさすが事故前に事故を予想するだけのことはあり、納得できるものが多い。昔は反原発というのは共産党系が政府批判のためにやっているものも多かっただろう。しかし、現在の共産党の反原発には十分な理由がある。評価できる脱原発論が一方で自民党河野太郎から、一方で共産党からでているのは面白い。脱原発イデオロギーではないのだ。

原発の闇―その源流と野望を暴く

原発の闇―その源流と野望を暴く