[原発がなくても電力は足りる！」

宝島社の本。基本的に編集部が書いているようだがいくつかの記事は飯田哲也、古賀茂明、大島堅一が書いている。まとめ本としてよくまとまっているし、原発は安全問題がなくてもこれだけの問題をかかえていることがわかる。内容について変に感じるところは特になく、やはり原発推進派の欺瞞を大いに感じる。ただし原発がなくなっても電力自由化により電気の値段は下がるとあるが、原発をなくしても自由化が進まなければ電気代は高くなるだろう。しかしそれは自由化を求める圧力を高めることになるだろうし、コスト高になりがちな自然エネルギーの導入の呼び水にもなる。企業が海外に逃げ出すという論があるが、その主因はおそらく円高だろう。電気は数ある理由のひとつに過ぎない。電気高を理由に海外に逃げ出す企業が多ければそれはすなわち電力需要の低減を意味し、ますます原発に頼らなくてもすむようになる。原発がなければ電気代は上昇するかも知れないが、それは悪いこととは限らない。さらに言えば、年金にしても原発や再処理の問題にしても財政にしても司法にしても日本は破綻が目前に迫っていることを感じずにはいられない。どう考えてもおかしなことを現在の日本の国家はやっている。国家が頼れなくなる時代がすぐそこにきている。いかなる備えをしておけばいいのだろうか。

原発がなくても電力は足りる!