NHK「原子炉冷却の死角」「何が書かれなかったのか」

震災から2年ということで震災関係の番組がいろいろあった。その中の原発事故関係の番組。
「原子炉冷却の死角」では①1号機のイソコンが動いてなかったのに、誰も動いている状態を知らなかったのでイソコンが動いていると誤認した②3号機では消防車から原子炉に水を送ったが配管内のポンプから半分復水器に漏水したため3号機はメルトダウンした③4号機は放射線量が強くて近づけなかったが爆発によって外から注水できるようになった、ということを伝えている。いずれも各事故調報告書では指摘されなかったことだ。
これらのことがそのとき正確に把握できていたとしても自体の進行を止められたかどうかはわからない。しかしこれらによって明らかなのは電力会社が原子炉のことをよくわかっていないという事実だ。①については4年ごとにイソコン起動試験をしているアメリカの原発の例が紹介されていた。日本でもそういうことをやっていれば少なくとも動いているかどうかを誤認することはなかった。しかし日本では40年一度も動かしたことはなかった。②については消防車をいくら配備しても解決できない問題だ。
「何が書かれなかったのか」では政府事故調の委員が書いたのはあとがきだけであとはほとんど官僚が書いたこと、欧米ではすでに対策していることが多いのにそれが書かれなかった事、政府側の役人が誰が何をしたかとかを書けなかった事について委員側に不満が残っていることが伝えられた。委員長の畑村は再現実験をしたかったのにできなかったのが残念だといっていた。
いくらなんでもこれほどの危険のある原発事故の再現実験はできないだろうと自分でも思うが、それでも再現実験をしようという学者と、40年間イソコンを動かさなくてもなんの疑問も持たない事業者。同じものを対象にしても同じ日本でもこれだけ認識が違うのだ。欧米の電力会社は手で運べる非常用電源も、建屋の水密構造もなされている例がある。日本は何もやっていなかった。これほど危機感の乏しい現存電力会社に原発の再稼動を許してほんとうにいいのか?原発の再稼動が必要だとしてももう少しまともな認識のできる組織に任せるべきではないのか。先に原子力発電だけ自由化して、東芝三菱重工などメーカー自身に発電をまかせたほうがいいのではないか。切にそう思う。