ウイリアムテルから皇帝ワルツ

イリアムテルは1300年頃のスイスの英雄。日本では後醍醐天皇くらいの時期。スイスは神聖ローマ帝国と交渉し自治権を勝ち取ったのだが、直接の領主であるハプスブルグ家は逆に支配を強めようとし、代官を派遣して代官の帽子に敬礼をするよう住民に強要した。ウイリアムテルはこれを拒絶し捕まったが息子の頭の上のリンゴを弓矢で射れば許すと言われ見事にそれをやってのけた。しかし代官を殺すためのもう一本の矢がばれて再度とらえられようとするが逃げ、代官を射殺した。これを機にスイス軍はハプスブルグ家を追い落とし、無敵と呼ばれるようになった。ハプスブルグ家はオーストリアに逃げ、そこで発展し神聖ローマ帝国を手中にする。しかしマリア・テレジアの時代(モーツアルトの頃)、男子がいなくなり、さらにフランス革命を機に市民の反乱がたびたび起こり弱体化した(ロッシーニの父はフランス派だったためオーストリアにより投獄された。)。市民の反乱をよく抑えたのがラデッキー将軍であり、ラデッキー将軍に鍛えられ、ハプスブルグ家再興のため皇帝になったのが最後の皇帝と言われるフランツヨーゼフ1世である。皇帝ワルツは彼のために作曲されたものだ。彼は日本で言えば孝明天皇明治天皇の時代を皇帝として過ごし、彼の死とともに帝国は終焉を迎えた。これらは今度の太田フィルの曲なのだが、ウイリアムテルではじまり皇帝ワルツで終わるというのはまさにハプスブルグ家の盛衰の物語なのだ。(アンダーソンとか山の魔王とか関係ない曲もあるけどね。)