市場価格連動型電力

ダイレクトパワーという新電力が基本料金ゼロ市場価格連動型という価格設定で売り出している。初めてなのかと思ったら自然電力というところもそういう価格設定になっているようだ。

前日にわかる翌日の時間ごとのJPEXという市場価格で電力の購入価格が決まる。九州電力など晴れた日の昼間には市場価格はほぼゼロになるのでそういう時には安く電力を買えることになる。一方冬の寒い日の夕方などは高騰し40円などにもなることがあるからそういう時は使わないようにしないとやたらと高くなってしまう。

今はないだろうが、機器が自動的にJPEXを参照し自動的に稼働時間を決めるなどもできそうだ。人がやっても機器がやってもいいが、そういうことが増えると自動的に電力は平準化される。系統の調整負担が減る。それこそ電力自由化の理想の姿。

ところが、よく見ると、市場価格連動型ではあるが、別に託送料金、手数料、再エネ賦課金、送電ロスなどが入るので基本料金ゼロでも託送料金の基本料金がかかるし、市場価格がゼロでも15円くらいは払うことになる。電化上手の夜間料金と同じくらい。しかし東京電力では市場価格がゼロになることはなく安くても3円、ほとんどは8円から15円くらいだから23円から30円くらいの値段を払うことになる。ただし、ときにより60円などの価格になることもあるからそういうときはなんと単価75円も払うことになる。(下記サイトで東京エリア2019/4/10)

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九州電力ならほぼゼロ円になることがあるがそれでもそんな日はほとんどない。市場価格連動型でも意外に期待したほど電気が安くなるわけではない。それでもおそらく(電化上手以外の)他のプランよりは安くなるだろうが。昼間、FIT切れ太陽光の電力がタダで使える家では夜間電力が安い方がいいから必ず夜が安くなる電化上手以上のプランは無い。

上記では託送料金は固定だが、送配電会社は系統安定にも責任を持つわけだから需給が安定した方がいいはずだ。だったら固定でなく、託送料金も市場価格連動型にした方がいいだろう。また、新電力がとる手数料も時間帯による安値を売りにするならそれも市場価格連動型にした方がいいだろう。再エネ賦課金はそうはいかないが。

とすると市場価格10円のときその他の価格が15円(託送料8円+手数料4円+再エネ賦課金3円)とすると市場価格5円になったらその他の価格は9円(託送料4円+手数料2円+再エネ賦課金3円)となり合計14円となり深夜電力より安くなる。市場価格0円になったらその他の価格は再エネ賦課金の3円だけとなり激安だ。

そうなれば時間を選ぶ機器、蓄熱や蓄電に金をかける人も増えるだろう。そういう時代はもう少し後かと思っていたが、わりとすぐやってくるのかも知れない。

 

原子力の価値

私は原子力はどんなに高くついても使うべき派だ。その理由。
・制御可能な低炭素電源であり、
・海水ウランにより純国産無尽蔵供給が可能な電源であり、
・余剰エネルギーで海水ウランを作ることで余剰エネルギーをウランにいくらでも溜め込めるから
だ。ウランは最高密度の蓄電池。
どんなに高くても使うべきと言うことは逆に言えば安全対策にどんなに金をかけてもいいということ。使うと言うことを最優先するなら次に必要なのは社会的合意。そのために必要なのは何があっても事故らない最高の安全性能だ。
活断層の有無を規制委と論争するなんてあり得ない。誰が見ても活断層の無いところに建設すべき。社会的合意のためには誰が見てもおかしくない方法をとらなければ無理。誰が見てもおかしい再処理なんてもってのほか。
今の日本の原発推進の人のほとんどは原発が安いから使うと言う発想だ。その先にあるものは高ければ使わない、使うためには安くする、そのためには安全対策など金がかかることは避ける発想だ。つまり安さ強調と安全軽視は紙一重
原発は安くなくても使うのか、議論した方がよい。安いから原発を使うと言う意見には反対だ。
海水ウランを使う揚水発電のような使い方ができれば原発は相当高くても価値はあるはずだ。揚水発電は半分は揚水しなければならず稼働率が悪いし、貯めた分以下しか発電できないが、それでも作られ使われている。
海水ウランを使う蓄電は発電とは別で稼働率は高くできるし、貯めた分以上の発電ができる。変動性再エネとベストな組み合わせ。
今のコスト優先の原子力原子力の価値を発電にしかみておらず、安全対策が高騰した新設はあり得ないし、同じく低炭素、純国産の再エネをライバルとあるいは系統安定化の邪魔者として攻撃している。その先には多少リスクが高くても使わざるを得ない状況を目指しいるように見える。
そんな歪んだ活動をしなくても海水ウランを活用した原子力にはおおいなる価値があり、再エネは重要なパートナーだ。コスト優先の原子力はその可能性を潰している。

アマオケの入場料

ルーデンスの定演ははるか昔から無料だがこの辺のオケはどこでも500円か1000円の入場料をとっている。実際にはチケットにいくらと書かれていようがアマオケの場合チケットはあげるもので実質は無料。太田フィルの場合はアンケートを書いてくれた人には招待状を送っているし。
ところが会場使用料はチケットが有料だと変わってくる。おおざっぱに言って約10万円高くなる。と言うわけで太田フィルで入場料を無料にしようかという話があった。
自分はルーデンスの例もあるしアマチュアなんだし無料でいいのでは?と思ったが、団員の意向はほとんどが500円維持だつた。同じあげるのでも無料のチラシをあげるのと500円のチケットをあげるのとでは喜ばれかたが違うという話。言われて見れば確かにそうかもね。
500円のチケットをただでもらえて来れて良かった、と言われる演奏会にしなきゃね。

規制委の判断

mainichi.jp

 規制委は原発のテロ対策工事の遅れがあっても規制基準の猶予期間の延長を認めない方針を決めた。

 工事の遅延はよくあること。悪いことをしているわけではない。ましてや完成度を高めるために時間がかかるのは逆にいいことかも知れない。よくないのは工事が遅れたから猶予期間を延ばせとと要求したこと。規制基準は電力会社を規制するものだから電力会社の都合で変えてはだめだ。規制委の判断は当然と言える。

 電力会社も規制基準を守ることで信頼を得ようと思うなら信頼の源である規制基準を自己都合で変えてはいけないということに思い至らなければならない。電力会社の都合でかわるような規制基準は誰も信頼しない。信頼が得られなければ日本の原子力の将来は無い。

 電力会社は再稼働にばかりやっきだが、短期的な再稼働より長期的な信頼回復の方がよほど重要。だが電力会社はそれが全く分かっていない。規制委に文句を言う電力会社の姿は原発に対する信頼を落とし、やはり電力会社はリスク低減に不熱心であることを確認することになり、原発反対世論を後押しすることになる。

 原発を安全に運転するのが事業者の役割。規制委の役割ではない。ましてや政治の役割でもない。いつまでも規制委が厳しいから悪いなんて言っているのは幼稚な考え方だ。規制委の言うような対策はすべて終わってます。素人の規制委なんて不要です、我々はプロです、というくらいでないと信頼は得られない。電力会社は何でもひとのせいにしないで自分で原発を始めたのだから責任もってリスクを低減し、できないなら止めるべきだ。

 一部の電力関係者は期限を延ばさないなら無理な工期短縮で労災が増えるなどと言って規制委を批判している。しかし無理な工期を要求しているのは規制委ではない。規制委は基準に適合しないなら停止と言っているだけ。無理な工期を要求するのは停止すると稼ぎを失う電力会社自身。まるで自分がぐれたのは先生のせいだと言っている不良生徒のようだ。自分の行動に責任を持たず自分の行動の原因を人のせいにする電力会社。それでは信頼は永遠に得られない。規制委の仕事は工事期間を正確に見積もることじゃなくて、規制基準に適合しない場合停止させること。今回規制委はいい仕事した。

 電力会社は規制委に要求するなら工事完成前の停止を回避するのではなく、その停止分の寿命を延ばす方を主張した方がよい。規制委が機能していればその頃は安全対策は万全になっているはずだからそこでリスクの増大はないし、交渉する時間も十分あり、工事による停止の損失を回避できる。

 

貯めトクサービス

関西電力四国電力から卒FIT対応で以下の発表があった。

https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2019/pdf/0422_2j_01.pdf

https://www.yonden.co.jp/press/2019/__icsFiles/afieldfile/2019/04/22/pr010.pdf

系統を蓄電池とみなし、月あたり一定の容量までは自家消費とみなして割引する。つまりその容量までは買電額と売電額が同じというわけ。ただし、その容量に応じた一定の料金が発生する。関西電力は詳細が未定だが四電は月150kWhまでで月2700円ということになっている。単純に割れば18円/kWh。例えば昼の電気代を31円とすれば昼に余った電気は31円で買い取ってもらえるが、そのかわり基本料18円がかかるので差額13円で買い取っているのと同じことだ。それでも通常の買い取り額よりは高い(関西電力8円、四電7円)。

面白いサービスだが、価格メリットはあまりなく、確実に2700円の基本料金が発生するので他のEV等の利用状況によって判断することになるが、利用価値があるかどうかを計算するのも面倒なので使わないと思う。

しかし、このサービスはよく考えられている。卒FITでEVや蓄電池で自家消費を増やす方向になるとその家の消費電力も売電料も下がる。つまり系統を流れる電気が減る。売る電力量も下がる。これは電力会社の収入を減らし、系統のメンテナンス費用も下がる。結果、電気代はどんどん高くなり、人々はより太陽光で自立を目指すようになる。この傾向が続けば電力系統は崩壊する。

一方、太陽光で自立を目指す場合蓄電池が必要だが、高いし容量は少ないし、寿命は短いからできれば買いたくない。そこを狙って系統を蓄電池代わりにするメニューを出せば人々はとびつくだろう。そうなると結果的に売電量も買電量も下がらず、基本料金が稼げて系統代も出る。電力系統が持続可能になるのだ。

利用者もリスクの高い蓄電池を購入する必要がなく、価格メリットだけ得られる。系統にとっても電力会社にとっても利用者にとってもメリットのあるいいサービス。自分にメリットがあるかは別だが、社会的にはこの方向がいいだろう。

気になるのは電化上手(よんでんならでんかeプラン?)が継続するかどうかだが、資料からは廃止は読み取れない。解約しない限りずっと続きそうな気配だ。EVを考えたとき深夜電力が安いのは魅力なのだが、そうなると東京電力から離れられなくなってしまう。

電力自給案まとめ

リーフe+から始まっていろいろ検討したが、いろいろな計算の仕方をしたので比較ができにくくなっている。そこで同じモデルを元にしていろいろ条件をかえて改めて計算してみた。

 

モデル

気温と日照時間:2016年5月1日~2017年4月30日

車利用:2016年5月~2016年1月を参考に拡張、年間キロ数を21000kmに修正

電気利用量:昼・夜・深夜別に平均気温の関数とした。

エコキュート:月110kWhとして気温、昼夜にはよらないとした。

余剰電力売電価格:8円とした。

電気代:電化上手 基本料金年間15552円 夜17円 朝夕30円 昼36円

    エコスタイル 基本料金0円 時間帯によらず29円

 

電化上手の場合

現状 電気代104206 ガソリン127832 売電-54464 基本料金15552 費用合計193126

エコキュート昼化 電気代84983 ガソリン127832 売電-44542 基本料金15552 費用合計183825

家庭用蓄電池13kWh 電気代10558 ガソリン127832 売電-26106 基本料金15552 費用合計127836

リーフV2H62kWh 電気代54785 ガソリン代0 売電-24508 基本料金・充電カード27552 費用合計57829

PHV8.5kWh 電気代84983 ガソリン代67525 売電-34200 基本料金15552 費用合計133860

 

エコスタイル電気の場合

現状 電気代136681 ガソリン127832 売電-54464 費用合計210049

エコキュート昼 電気代100713 ガソリン127832 売電-44542 費用合計184003

家庭用蓄電池13kWh 電気代10490 ガソリン127832 売電-26106 費用合計112216

リーフV2H62kWh 電気代87119 ガソリン0 売電-24508 充電カード12000 費用合計74611

PHV8.5kWh 電気代100713 ガソリン67525 売電-34200 費用合計134038

 

結局年間費用はリーフV2Hが一番安上がり。ガソリン代がゼロになるのが大きい。ただしそのお得額は投資なしで実施できるエコキュート昼化と比べて約10万円。10年でも100万円。このために電気自動車を買うのでは元がとれない。安い電気自動車が出るのを待つか、中古車にするか、PHVにして使い勝手と多少の節約をとるか・・・

 

今のプリウスは燃費10km/Lの場合と比較して元を取ろうとしている。であればリーフもそう計算してみよう。燃費10km/lなら年間ガソリン代は上記計算より17万程度増える。上記計算で現状とリーフ時の費用差異は13万程度。つまり燃費10km/lの車と比較すればリーフ時は年間約30万程度の節約になる。10年で300万円のもとが取れる。これならリーフの中古とV2Hが買えそうだ。