「さくらの城」「真夜中の向こう側」「夜の牙」「婉という女」「流れ公方記」


「さくらの城」さくらの城とは高遠城のことである。信長の子信忠と信玄の子お松との悲恋。一度会っただけでこんなにひかれあうもんかと思ったがあとがきによれば実話であるらしい。読後感がよい。「真夜中の向こう側」ひとりの超モテ男にふりまわされる美女二人。まったくうらやましい世界で面白かったが結末は悲惨。登場人物が多い割りに生かされず読後感は良くない。「夜の牙」探偵ものだが展開に広がりがあって期待以上の面白さ。しかし刺激が強い。「婉という女」土佐藩で蟄居の刑のため40歳まで家からでられなかった女性の話。実在の人物らしいが話はなにもなくつまらない。篤姫と似ている。「流れ公方記」足利幕府最期の将軍の姿を追ったもの。小説というより調査記録のようである。時代的にはさくらの城とほぼ同じ。まったく大変な時代であったことは間違いない。