「なぜこの方程式は解けないか」


「なぜこの方程式は解けないか」2次方程式の解の公式はだれでも覚えがあるだろう。この本の前半は数学者が4次までの解の公式をみつけてきた歴史である。そしてガロアが5次方程式の解の公式はできないことを証明する。そしてガロアはその証明のため群論という新しい概念を導入する。この本の中ほどはガロアという人についてである。ガロアは20歳でさっさと死んでしまったのだがそのあとの群論の発展がこの本の後半である。群論文化人類学一般相対性理論量子力学、標準理論にまで応用され重要な役割を担っている。ガロアを中心としてガロア前からガロア後現代までを書いた数学の大河ドラマである。なかなか大作で面白い。群論の中身を知っていればさらにおもしろかっただろうが群論そのものはさっぱりだが。物理学が測定技術の進歩などで発展していくのはイメージ的にわかるが、前のeの話もそうであるが数という抽象概念についてこれほど歴史や発展の余地があるものなんだなあとあらためて思う。他の学問は測定技術などが作用して正誤がひっくり返ったりすることがよくあるが(エーテルとか)数学の世界はそれがない(ただし証明のミスなどはあるらしいが)。発展したら発展しただけ確実に人類のものになっていくところが面白い。昔は相対論など実際には役にたたないと言われたりしたようだが現代ではそれ無ではありえないカーナビを一般人が使って走り回っている。やっぱり科学の歴史は面白い。高校などでもこんな歴史を教えればいいのになどと思う。