近藤誠


ネットで近藤誠をひいてみるといろいろでてくる。だいたい読者は支持し、医者は批判するというのが大勢である。しかし批判は批判のための批判であって近藤誠のようにどこにどのようなデータがあってこう解釈できるからこうであるというような形で批判されている文章は今のところネットで見つけることはできないでいる。その中で読者層から近藤誠を読むならこれも読むべきとして上げられているのが斉藤建という人の本であり、いずれ読んでみたいと思う。医者でも民間療法のようなことを書いている本は多いが近藤誠がそれと違うのは上記のようにデータを根拠として話を進めていることにある。しかしながらそれらは統計の話であって個々に当てはまる話ではない。がんもどき仮説はそう解釈すると統計結果がうまく説明できるということであってそれ以上のものでない。早期発見して手術しなおったがんが100%がんもどきであれば説明しやすい。しかし実際にはそれが80%かもしれず、20%は手術により治ったかもしれない。かわりに進行ガンでも20%ぐらいは命をとらないガンだったかも知れない。もし自分がガンになった場合、がんもどきだろうとたかをくくって手術をしないでおいて、もしその20%に自分がはいっていてしまったらあのとき手術をしていれば助かったのにということにもなりかねない。だから統計上の現象を個々の場合にあてはめるべきではない。とはいえ統計データをよく読めばガンと戦うことが無意味にも見えるという視点を与えてくれたことは重要である。