「精神鑑定 脳から心を読む」


福島章の本。これまでも何回か読んでいるが専門的な内容なのにミステリーのようにたいへん面白く読ませてくれるので感心。精神鑑定はニュースなどで何人かの鑑定が食い違うとか再鑑定の結果覆るとかいうことをよく耳にするのでどうも怪しいという印象を持ってしまう。この本にもそういう例が何例も紹介されている。特に犯罪に対する精神鑑定は現在のではなく犯行時の鑑定ということで難しいようである。また、通常人に対する診断とは違い、犯罪者は特殊な性格を持つことが多いことも鑑定を難しくしているようである。だいたい精神医学界自体がさまざまな学説、学派で混乱してもいるようである。それでも筆者は精神鑑定は科学であり、科学に基づいたアートだといっている。そして一般の診療と違い、一人の人物について何ヶ月もかけて集中的に徹底的に調査できるのはそれだけで十分興味あることであるとも。この人がいうなら納得できる感じであるが、それでも人による差が大きく出ることがあることには納得できない気もしないでもない。