「クライマーズハイ」

日航機が落ちたときの群馬の地元新聞社を舞台にした小説。映画を見てから原作を読んだ。地元ではあっても組織と設備の充実した大新聞にはなかなかかなわない。毎日締め切りがあって本当に大変な仕事である。仕事以外の派閥争いみたいなことも多い。小中学生ぐらいのころには自分が新聞記者になるような気がしていたのでならなくてほんとによかった。事故調査委員会の結論をすっぱ抜くなんてことはテレビもラジオも(今ならインターネットも)ある時代にそんなたいしたことではないのではないかと思うが新聞業界ではまさに生死をかけた大勝負という感じである。業界と一般の意識差はかなりあるのではないだろうか。それでも今でも新聞が廃れずにしっかり発刊されているのはリアルタイムの情報源はあやふやなものが多くてあてにならないが、新聞に書かれたことならあてになるだろうと思う人が多いからではないだろうか。だから新聞に期待することは特種をすっぱ抜くことではなく、信頼性と正しい見方、解説ではないだろうか。そう思うとこの小説の中の締め切りに追われながら特種を探す喧騒はちょっと違うような気がする。もちろん新聞社も時代とともに変わってきているかもしれないが。まあほかならぬ群馬の新聞社内が覗けて面白かったが、話的にはそれほど面白いわけではなかった。