「生協の白石さん」


かなり前に話題になった本である。生協の一言カードに学生が投稿したものへの生協の白石さんの回答。別にそんなに感動的なものがあるわけでもなく本になるほどのもの?と言う感じである。でもこれはネットで話題になり本になり、マスコミで取り上げられて有名になったのだ。最近白石さんは農工大の宣伝大使になったらしい。考えてみれば学生にとって白石さんのような受け答えをする人は他にいないのだ。同級生ならいる。先生ならいる。商売人ならいる。もちろん白石さんとて生協ではあるが商売人である。でも白石さんは商売人の域をはるかに超えたのだ。およそ生協とはなんの関係もない質問にもまともに受け答えしてくれたのだ。つまり学生にとって白石さんは商売人ではなかった。あにきとかあねきとかという存在だったのだ。この本がこれほど話題になったのは学生たちがそう言う相手を欲していても現実にはいないことの裏返しなのではないだろうか。白石さんがそんなにすごいことをやったとは思えない。しかし人は自分の仕事や役割の範囲を超えた行動はなかなかしないものだ。ほんのちょっと超えるだけであたらしい何かが見つかるかもしれない。そんな気持ちを抱かせる本である。