「がんで男は女の2倍死ぬ」


性差医学への招待という副題。医学書かと思うと半分以上が医学と言うよりは性差についての比較社会学のような感じ。よく言われる女性は左右の脳をつなぐ線が太いのでおしゃべりだというような説は最新の研究では否定されているらしい。性差医学の研究が進むことによりホルモンの出方などなどを除き身体的な性差はいわれるほど多くはなく男女の差は身体的なものより社会環境の影響が大きいことが明らかになってきている。日本では女性が男性より長寿なのは常識になっているが実は北欧など男女の地位の社会的な差が少ない国では男女の寿命の差は短い。猿の研究では父親が子育てをする種ではオスの方が寿命が長いらしい。日本でこれほど男女の寿命が違うのは仕事によるストレスや不摂生が主たる要因であり、まだ確認はされてないが女性が子育てをすることにより獲得する長寿にもよるのではないかとこの本は述べている。なおコレステロールについてはその平均値は年齢とともに上昇し、高齢者では220は平均的な数値であり、特に女性では280ぐらいまでは正常値の範囲と言えるそうである。この本でも220という低い数値での男女も年齢も問わない一律な正常値の定義には疑問を呈している。数値を決める偉い人たちが投薬による個別の利害で動き、医者は忙しくて本当の数値を探る時間が持てなければ真実は誰に聞けばいいのだろう。専門家に頼らずよく勉強するしかないのだろうか。一般人でもそんな時間のある人はそうはいない。日本は危なくなってきているのか。