「痴漢冤罪の恐怖」


裁判官の横着を書いた人の本。あるとき身に覚えがないのに見知らぬ女性に「痴漢だ」といわれた場合、疑いをはらそうとして女性と一緒に駅員のところにいったりするとそのまま警察に引き渡され、被害者の女性の現行犯逮捕となって24時間の拘置、その後23日間の拘留、そして起訴されて有罪になってしまう。そのしくみが非常にわかりやすく書かれている。もしやってもいない罪を認めれば略式裁判で20万円程度の罰金が決まりすぐ釈放される。だからほんとにやった人などは当然その道を選ぶだろう。やってない人が否認すると正式裁判となるのだが、一般に刑事事件では検察官が有罪という確信をもてない場合不起訴とするのが一般的であるため裁判官は検察官が起訴したものは原則有罪とする慣行がまかり通っている。そのため罪を否認するために正式裁判にしてもらっているのに裁判ではほぼ自動的に有罪になっている。疑わしきは罰せずが法の精神のはずなのに、実際にはよっぽど無罪の証拠がなければ原則有罪が裁判所の常識になっている。現代の裁判官たちはもはや自分の頭で考えて無罪判決をだすことができなくなっている。だから疑いをはらそうとしても警察も検察も裁判所も誰も聞いてくれない。このことから言えることは第一に現行犯逮捕を避けること。痴漢ですといわれてもそんな覚えはないといって立ち去ってもいいし、逃げたと思われたくないのなら住所氏名や名刺などを渡した上で去ってもよい。第二に運悪くつかまってしまったら人生の損得を考えれば冤罪でもさっさと略式裁判で罰金刑を受け、脱出を図った方がよい。とにかく駅員も警察も裁判所も自分の言い分を聞いてくれるという甘い考えは持たずに自己の利益を最優先で行動すべきである。そして第三にもうすぐ始まる裁判員制度は自分で考える力を失った裁判官たちが一般常識をもっている一般人に助けを求めた制度だったということが言える。痴漢事件は微罪なため裁判員制度の対象にはならないが、裁判官たちが裁判員とつきあうことで自分で考える力を取り戻すことが期待したいと思う。

今の裁判所は検察が起訴したものは自動的に有罪にする例がこんなところにもあった。高知白バイ事件である。URLのブログがよくまとまっている。
http://mediasabor.jp/2009/02/post_591.html
おそらく痴漢事件にしても交通事故事件にしても冤罪になったところで微罪という意識があって忙しさにかまけてまじめに考えてないのではないかと思われる。この例では最高裁までいってダメだったのだからやはり司法に甘い考えを持ってはいけないと言うことがよくわかる。自分がこんな立場になったらどうすればいいのか。道義的には状況が許す限り闘って警察や検察の横暴を世の中に訴え続けひいては国家の改善に力を尽くすべきであろう。しかし普通の人生に戻りたければそして司法に甘い期待ができないことが現実ならば徹底して警察や検察に迎合し冤罪ではあっても執行猶予などつけてもらって早々に社会復帰を目指すというのもまじめに考えるべき現実的な選択肢であろう。