「凍った地球」


読みたいタイプの本である。解説に学問的な説得力があるが堅苦しくなくエッセイ的でもある。著者は自分と同年代。指揮者もそうだが同年代だとやってほしいようにやってくれる人が多いような気がする。内容は地球が赤道まで−30度以下になって凍ってしまう「スノーボールアース」状態であったという説をめぐる物語。地球は太陽のエネルギーの吸収と放熱で状態を保っている。その安定状態は氷河がまったくないものと高緯度のみ氷河がある状態と全凍結状態の3種類。地球ができて20億年ぐらいは酸素はなくメタンが多い高温の環境だった。ところがあるとき光合成をおこなうバクテリアが発生し酸素を発生し始めたためメタンは酸化されて温暖化効果を失い地球は急速に寒冷化して全凍結状態に陥った。氷の下では地球からでてきたリンなどの無機物が水中に溶けて行った。火山活動によるCO2が大気中にたまって地球は徐々にあったまりあるとき全凍結状態から抜け出した。すると今度はすさまじい温暖化状態となり、大量のCO2や無機物を材料にバクテリアは大増殖しここで現在も20%ある大量の酸素が作られた。それからしばらくして海にたまったメタンハイドレートが温暖化のため大気に放出されその温暖化によりCO2は植物や鉱物に固定されたころメタンの放出が止まり、またもや全凍結状態に陥った。そして火山活動によりようやく全凍結を抜け出したとき生命の大進化が始まったのである。地球の大きさに比べれば生命活動は小さなものと思っていたが実は地球の状態に生命は非常に大きな影響を及ぼしているのだ。これらは地学の世界でスケールが万年とか億年とかであり現在の温暖化の参考にはならないが、やはり環境はよく考える必要があることはわかる。