「『生活保護』でどこまで暮らせるか」


ホームレスやネットカフェ難民などのニュースを見るたびに日本では最低の生活が憲法で保障されているのに「生活保護」があるのにどうしてこんなことになるのか常日頃から疑問に思っていた。ニュースから聞こえてくることは「住居がない人は生活保護が受けられない」「働ける人は受けられない」「収入がある人は受けられない」などなど。しかしそれらは間違いであることをこの本は解説している。実は以前は住居がないと確かに難しかったらしい。しかし2003年からは住居がない人にも住居を手当して生活保護を支給することが可能になった。だから世の中のホームレスや年収200万円未満の人たちのほとんどは生活保護を受けられるのである。じゃあなぜ受けないのか。それは申請をしないからである。また、申請をしようとしても実際には申請が結構難しいし、生活保護が必要であることを担当者に納得させるのも結構難しい。一方小泉改革で予算が削られているので担当者も保護対象者を増やしたくない、あるいは減らそうとしているのも事実なのだ。だから世のボランティアが生活保護申請を手助けしているのは非常に強力な助っ人となるのである。ニュースの論調でセイフティネットが不足しているとよく言われているが制度的には生活保護の制度があればほぼ充分のようである。実際には上記のように申請を受け付けてもらえない、ケースワーカーの数が足りないなどの運用面が不十分であるのは確かである。そのへんをボランティアが手助けできればかなりの成果が上がるのではないだろうか。生活保護は日本が世界に誇る強力なセイフティネットなのである。われわれもいざというときのためによく知っておいた方がよい。それにしても小泉改革というのはあんなに支持を集めたが実際には本当に弱者を傷めつけるものだったようだ。