「トコトンやさしいバイオガスの本」


バイオガスはバイオエタノールと似たようなものだがエタノールではなくメタンのことを言うのだろうと思って読んでみた。バイオエタノールは石油代替を狙って増産され、食糧高騰を招いて批判されたものだが、ここに書いてあるバイオガスはたしかにメタンだがバイオエタノールとは立ち位置がかなり異なる。現在のバイオガスの立ち位置は天然ガス代替を狙うものではなく、廃棄物処理が主目的だ。生ごみ、糞尿、汚泥など有機的な廃棄物は嫌気性発酵を行うとメタンがでて、量が10分の1程度に少なくなり、肥料等に利用できるようになる。メタンの有効利用は2次的な問題であり、熱利用にしても発電にしても通常は処理施設内で消費されるのが一般的で、エネルギーとして期待されているようなレベルではない。もちろん遠い将来はありうるだろうが。また、地域的な取り組みとして都市ガスに使ったりしている例はある。あと、超意外だったのが利用されている菌が特定されていないこと。菌を特定するためにはその菌だけを培養することが必要だが、嫌気性細菌は増殖する速度が遅く環境も作りにくいのでそれができない。それでも実験や経験則でかなりのことができる。菌の世界はまだまだわからないことが多いらしい。それだけに今後の発展も期待できるかもしれない。