「学問のすすめ


言わずと知れた福澤諭吉著の現代語訳である。もとは大分県中津に学校を作ろうとしたときになぜ学問が必要なのかを地元の人に伝えるために書き、それを慶応義塾で出版したらしい。出版は明治7年〜9年である。そんなわけで内容は平易で読み易い。また、時代を感じさせるようなところはわずかで、あれからいろいろな時代を経ているのに今でも十分通用する内容である。明治7年といえばまだ西南戦争もおきていない、維新後の混乱期であるにもかかわらず。この本は現代日本人の生き方を指し示したものと言える。この本がベストセラーになってから140年たっても日本人はあまりかわっていないようだし、この本が示す生き方もまったく色あせていない。今でも、特に若い人には十分読む価値があるだろう。この時代、おそらく西洋志向一辺倒であったろうが、西洋のなかにもとりいれるべきでないところがあると、西洋志向一辺倒を批判していて面白い。しかしよくもこの時代に西洋のことをよくわかっていたものである。