アメリカで2001年に出版され、日本語訳は2007年に出版されている。原文が日本語や日本人に合わないジョークや脱線が多すぎるのか訳が問題なのかわからないが読みづらい。一通り目を通したが、地層や石油掘削技術のあたりはあまり興味がないこともあり何を言おうとしているかわからなかった。面白かったのは次の2点。石油は
有機堆積物が適度な深さにあるときに生成し、それより深ければ
天然ガスになり、浅ければ利用はできないということ。2005年ごろまでには石油生産量はピークを迎え、以後下降していくだろうということ。これは発見から枯渇までの石油の生産量が
ガウス分布を描くという仮定をし、利用可能な石油の総量を2兆バレルと仮定すると数学的にはそういう結論がなされる。個々の油田や
アメリカだけのグラフではだいたいそうなっているようだ。だからといって全世界の石油生産量に適用できるかどうかはわからないし、1975年までと1980年以降では曲線が明らかに違っている。1980年以降の曲線を延ばせば確かに2010年までにはピークがきそうだ。それ以前の曲線を延ばせばとっくにピークはきているはずだ。2兆バレルという数値の妥当性もよくわからない。仮定があっていればという話であって現実がそうだとは限らない。しかし時期はこの本とはずれてもいずれピークを迎えるだろうという気もする。2年ほど前のガソリン高騰はこのモデルを投資家が信じたためかも知れない。しかし時期がずれてもこのモデルが大筋で正しければいずれ石油生産は減少し、ガソリン価格は高騰するだろう。すると石炭、
天然ガス、
原子力へのシフトが進むだろう。そういう時代が目の前に来ているかも知れないということを感じさせる本である。