自宅で亡くなるということ


もう2週間ぐらい前になるだろうか。Cielが演奏するというので表題の講演を聴きにいった。Cielは久しぶりに聴いたがますます磨きがかかって素晴らしい演奏だった。こんな堅い話題を聞きに来ている人達を相手にして結構盛り上がるのだからすごい。演奏後講演があった。普通がんで死ぬというと病院でマスクとかチューブとかされて瀕死の状態で死んでいくイメージだろうか。講演の内容は自らの意思で退院し、自宅で最期を迎える選択をした人たちの話である。現在は緩和ケアの進歩で痛みをとったり、最後は眠らせるなど、在宅でもそれほど苦しまなくてすむ技術ができているらしい。こういう人たちは在宅でも寝たきりとかではなく、かなり普通の生活を送りながら死んでいく。もうそろそろダメというときには知人にお別れの電話をかけたり家族でお別れ会をしたりする。決して瀕死ではあっても瀕死の状態ではないのだ。副作用のひどい抗がん剤投与をやめて緩和ケアだけにするとそういう死にかたができる例も多いということだ。抗がん剤については近藤医師の本でもいろいろ考えさせられたが、がんとの闘いを選ぶか残された時間を生きることに力を注ぐかという選択がありうるということだ。あまりしたくない選択だが後者の選択肢もありうるということを知っておくのは有意義なことだろう。