宇宙太陽光発電のコスト

100万kWの宇宙太陽光発電所を作った場合発電コストはどの程度になるだろうか。先日飛んだ宇宙ヨット「イカロス」を参考に考えよう。イカロスは14m×14mの帆を持ち、重量は310kgである。太陽電池の効率10%でマイクロ波による変換効率70%としよう。地球軌道上では太陽エネルギーは1.3kW/m^2あるとする。イカロスの帆は約200m2であり、約17kWの発電能力となる。100万kW作るにはこれが5万6千個必要。重量にして1万7千tである。1tの荷物を静止軌道上に上げるのに20億円かかるとすれば約35兆円かかる。耐用年数30年とすればできる電気は約2600億kWhとなり、発電コストは132円と計算される。高いといわれる地上の太陽光発電のさらに3倍高い。まあ、イカロスは帆だけでなくさまざまな観測機器や燃料などを積んでのことだから太陽電池だけなら重量は半分程度になるかも知れない。でも66円。先に宇宙エレベータでも作っておかないとコストが高くてだめかもしれない。

ところでエネルギー収支的にはどうなのだろう。宇宙太陽光発電所を宇宙に送るためのエネルギーをそのまま使った方がいいみたいな話にはならないだろうか。HⅡAロケットは100tの液体燃料と250tの固体燃料を使う。全部液体燃料で200tとしよう。液体水素として12t。液体水素1kgが30kWhとすると36万kWhのエネルギーと言うことになる。これでイカロスを20個上げるとすると得られる発電能力は340kW。30年使ったとして得られる電気エネルギーは約9000万kWh。もちろんロケットの他の部品を作るエネルギーもいるけどエネルギー収支的には宇宙太陽光発電は十分にもとがとれるようだ。