「人間を幸福にしない日本というシステム」

16年前の本。日本の実態は官僚独裁であり民主主義は機能していない、それを打破するのは政治家や報道のはずであるが、報道は記者クラブを通じて官僚と密接に結びついており、政治家のスキャンダルをあげつらって国民の不信をあおり政治家を無力にしている。また、官僚は検察という政治家に対する武器も持っている。そして長年自民党政権は官僚をコントロールすることを放棄し政治家としての仕事をしてこなかった。官僚は産業に極度にかたよった政策をしいており産業界の上層部とも密接に結びついている。結果的に政治的にもっともパワーのある中産階級を会社にしばりつけ、政治的に無力化することに成功してきた。日本では民主主義が機能しない結果、産業は振興しても各人は不幸になっている、というような本である。書かれた頃は自民党がはじめて下野したあと、社会党と組んで政権を取り戻したところであった。そのころはあまり実感がわかなかったと思うが、現在の民主党の混乱を見るとこの本の言っていることの実感がすごくある。民主党官僚独裁国家に政治家として戦いを挑んだのだ。結果どうなったか。新聞は小沢の金権体質をあおり、小沢は検察に起訴され、菅は理由も無くひきずりおろされた。野田政権もまた閣僚の細かい言動をあげつらわれてすでに不安定になっている。原子力ムラは官僚中心体制の最たるものだ。いくら反対運動があっても微動だにしなかったのはそういうことだ。実は震災と原発事故で官僚独裁体制がゆらいだのだ。そして官僚を敵視する菅政権は官僚にとって大いなる邪魔だった。そこに危機感をいだきいろいろな手段を使って菅を追い落としにかかった。それが菅おろしの真相ではないだろうか。国民は頼るべき相手、支持すべき対象を間違えている。民主党自民党と違って官僚機構の攻撃を受けているのだ。検察や新聞と一緒になって民主党を攻撃するのは間違いだ。

人間を幸福にしない日本というシステム

人間を幸福にしない日本というシステム