放射能をどう恐れるか

放射能をどう恐れるか、世の中の情報は錯綜している。錯綜していないのは100ミリシーベルトの被曝で0.5%癌死が増えるということと、それ以下の被曝の影響は科学的には不明だということだ。これを根拠に0.5%の癌死の増加など誤差範囲なのだから100ミリシーベルトまでは大丈夫と主張するのが経済学者たち。普通は年100ミリシーベルトといっているが中には月100ミリシーベルトまで大丈夫といっている人もいる。一方年1ミリシーベルトがこれまでの法律上の一般人の被曝限度なのだからそれを守れといっている人もいる。また、ICRPという基本的に信頼する人が多い国際機関の通常の限度もそうなっている。ここは100ミリシーベルト以下でも放射線を被曝するほど悪いということを想定し、なるべく受けない限度として1ミリシーベルトとしている。ただしICRPは事故時は年20ミリシーベルトまでといっているようだ。一方ECRRなどという機関もあるようでそこは内部被曝もあるのでICRPの基準では危険だといっているようだ。また、一部学者の間で放射線ホルミシスというのも話題になっている。これは低線量被曝はかえって寿命を伸ばすというものだ。さて、どれが正しいかはわからないのでいずれも正しいと仮定しよう。いずれも正しいと仮定することが可能だろうか。つまりこういうことだ。100ミリシーベルトでは0.5%癌死が増える。100ミリシーベルト以下でも被曝に比例して癌死が増える。しかし100ミリシーベルト以下ではホルミシス効果により寿命が延びる人もいる。一方1ミリシーベルト以下でも内部被曝により寿命が縮む人もいる。これらがすべて成立することはありそうでしょう。つまりこういうこと。低線量被曝でかえって健康になり寿命が延びる人がいる一方で低線量被曝でも影響を受けちゃって健康を害する人もいるってこと。自分がどちらに該当するかはわからないのでやはりこれまでの基準年1ミリシーベルトは守ってもらって、温泉とか放射能が強い地域に旅行するときには自分にはホルミシス効果があると信じていくこと。行政など多数の人をまとめて取り扱う場合には統計的に取り扱えばいいかも知れないが、個人の恐れ方としてはやはり最悪の場合を想定しなくてはならないし、最悪の結果になったときにもこれまでの基準なら諦めがつくというものである。