太陽光発電は夏のピーク電力抑制になるか

メガソーラーからの電力買取価格が42円とされて高すぎる、という多くの批判がでている。しかし一方、太陽光発電は夏のピーク電力を下げるとも言われており、おもにピーク電力対策のために設置されている揚水発電のコストが51円と言われていることから比較すると買い取り価格は高くない、という主張もある。それに対し、曇りの場合でも気温が上がって電力がピークを迎えることがあり、その場合、太陽光は役に立たないという指摘もある。

そこでここでは震災前の2010年の7、8、9月のデータをもとに日照時間とピーク電力の関係を調べ、太陽光発電がピーク電力対策になるかどうかを判断したい。

使ったデータは東京電力の毎時電力データと気象庁の過去のデータ(館林)である。
ピーク電力のデータ(東京電力
http://www.tepco.co.jp/forecast/html/download-j.html
日照時間のデータ(気象庁
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php

図1

これをみると日照時間とピーク電力はほぼ線形の関係にあり、この期間の最高ピーク電力は約6000万kWでそのときの日照時間は11.6時間、日照時間ゼロの日の最高ピーク電力は5400万kWである。その差は約600万kWであり、東京電力管内で今後さらに太陽光発電を最大600万kW導入すると、2010年の天候の場合はピーク電力は約5400万kWに抑えられると考えられ、太陽光発電導入によるピーク電力抑制効果があると考えられる。

よって今後、東京電力管内に設置される容量600万kWまでの太陽光発電設備からの電力を買い取る場合には、揚水発電コスト以下である42円/kWhは必ずしも高くないと考えられる。逆にそれ以上の容量になると、ピーク電力抑制効果はなくなるので高額買取の大義名分は失われる。

2010年末までの日本の太陽光発電導入量は362万kW。このうち東京電力管内の量は不明だが仮に1/5とすると72万kW。よって、2010年末の9倍規模まで導入すると上記容量に達すると思われる。

2010年の太陽光設備を反映した2011年度の東京電力の太陽光促進付加金は3銭/kWh。よって、上記容量を導入した場合の太陽光促進付加金は27銭/kWhと考えられる。それでも主として原子力に使われる電源開発促進税37.5銭/kWhより少ないレベルにとどまる。

結論1:東京電力管内でピーク電力抑制効果がある太陽光発電最大導入量は2011年以降で約600万kWである。
結論2:上記導入量での太陽光促進付加金は電源開発促進税のレベルを下回る。

・・・というのをアゴラに投稿し載せてもらった。27銭は間違いで2010年にすでに導入していた分を合わせて30銭が正しい。しかも東京電力分として1/5を計算したがこれが不明なので結論2も実は不明。まあそんなに大きくは違っていないとは思うが。
アゴラ http://agora-web.jp/archives/1453295.html
BROGOS http://blogos.com/article/38198/

・・・
東京電力のレポートによると2010年度の東京電力の太陽光からの買取量は4億kWh・・・40万kW相当。よって600万kW導入するとその15倍になるので太陽光促進付加金は45銭増えることになる。よって結論2は言えなくなった。ただし、家庭用は余剰電力買取なので買取量としては若干下がるとは考えられる。仮に600万kWの内訳をメガソーラー半分家庭用半分として、家庭用の余剰量を半分とすれば買取量の増加分は450万kW。約11倍ですのでほぼ電源開発促進税と同等になる。
http://www.tepco.co.jp/corporateinfo/company/annai/shiryou/images/kankyo.pdf