「世界で勝負する仕事術」

 東芝フラッシュメモリ開発に携わり、その後MBAをとってフラッシュメモリ事業のリーダーとなり、その後東大准教授に転身した人の回想記。ちきりんさんがおもしろいと薦めていたので買ったのだが、まあ、期待したほどは面白くはなかった。だいたい自分より若い人の回想記なんて読んでも参考にもならないし。それでも比較的最近の話なので業界の話は面白いし、スタンフォード大や東大の話も知らないことがたくさんあった。半導体業界の話は面白い一方で恐ろしく、とてもそんな業界で働きたいとは思えない。フラッシュメモリの次のメモリはReRAMというそうだ。いつごろ実用化するのだろうか。
 本には”日本のエレクトロニクスはなぜダメになったのか?”という帯がついていたが、その回答になりそうなのは撤退したDRAM部隊がフラッシュメモリ部隊に統合されたのだが、年功序列のためにDRAMの人たちがフラッシュメモリの人たちの上司になるという話とか、フラッシュメモリ開発部をつぶした人たちがあとでフラッシュメモリを育てたのは俺だなんていうところぐらいで、ページ数にすれば1p程度?あとは東芝はいい会社だよといっているような本なのだ。まあ、もともと回想記だから日本が、アジアがなんて視点で見ていない。そういう期待をするほうがおかしいのだが、日本がなぜダメになったかの回答を期待する人にはちょっと不満かもね。

世界で勝負する仕事術 最先端ITに挑むエンジニアの激走記 (幻冬舎新書)

世界で勝負する仕事術 最先端ITに挑むエンジニアの激走記 (幻冬舎新書)