太陽光発電はピーク電力抑制になるか2

前に(2012-5-3)太陽光発電が夏のピーク電力抑制になるかというのを書いた。今年は去年より大幅に太陽光発電量は増えているはずなのでピーク電力抑制になっているだろうか。と思って今年のグラフを書いてみて2010年と比較してみよう。
2010年のグラフ

2012年のグラフ

横軸は館林の日照時間(1日の合計)、縦軸は東京電力のピーク電力である(時間ごとのデータからその日の最大)。データのページはこちら。
ピーク電力のデータ(東京電力
http://www.tepco.co.jp/forecast/html/download-j.html
日照時間のデータ(気象庁
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php
さて、今年は太陽光発電が増えたので2010年に比べ日照時間が増えたときの電力は抑制されていると思っていたのだが、実際にはグラフを見ると日照時間が増えたときの電力の増え方は2010年よりはるかに大きく、1000万kWに達している。一方、ピーク電力量自体は2010年より目盛りが1000万kW下がっていて、特に日照の無い日のピーク電力は2010年に比べ1300万kWも下がっている。
 つまり、日照の無い日はなるべくエアコンをつけないということを人々はやっているのではないか。日が照ってきて暑さが我慢できなくなってきてからエアコンをつけているのではないだろうか。そういう人が増えたので2010年より日照時間による傾きが急激になっている。それでもその差が1000万kWで収まっているのはもしかしたら太陽光発電の普及によるものかもしれない。
 ところで、だったら今後太陽光発電が1000万kW増えても有効ということになるだろうか。そうなれば夏のピーク電力は4000万kWで抑えられることになるが。
次の図は今年の東京電力のピーク電力を1月1日から8月31日までプロットしたものである。

明らかにわかるのは夏のピークと冬のピークはいまやほとんど同じだということだ。冬のピークは1月20日午後5時の4966万kWであり、冬だから太陽はもう沈んでいる。いくら太陽光により夏のピークを4000万kWに抑えたところで冬のピークが5000万kWあるのでもはやピーク電力削減にはならない。よって太陽光発電によるピーク電力削減効果はもう終了なのだ。太陽光発電の買取価格はさっさと下げて、地熱・風力・小水力やコージェネなど冬でも活用できるエネルギーに投資したほうがよい。

追記
2010年のピーク電力はこんな感じ。

われわれは夏の節電には1000万kWも成功したが、冬の節電にはほとんど成功していない。その結果、夏と冬のピーク電力は同程度になったようだ。