森川 すいめい 「漂流老人ホームレス社会」

年末セールで適当に買った本の最後だが、これはよかった。テーマがテーマだけに面白かったと言っては顰蹙かもだが、ほぼ一気に読んだ。評論ではなく、体験談のようなもの。著者は現在は精神科医で、実際にホームレスの人たちとかかわり支援したり友達になったり、病院につれていったり、生活保護のお世話をしたりという話。ホームレスの人たちの話も面白いし、ホームレスの相当割合が知的障害者だったりすることについての発見もいいし、著者個人の回顧録も面白い。とにかく、非常にデリケートな話だが、著者の目線が安定しているというか落ち着いているので普通に読める。精神的弱者の話は通常人の弱いところにも通じる。弱いところの付き合い方という意味でも参考になる。生活保護の本は前にも読んだが、その本のときよりは現在はだいぶ改善されたようだ。この本とは関係ないけど年金と生活保護は一体化すればいいのにと思う。最低限の支援さえすればあとは各自自由にやればいいと思う。しかし最低限の支援というのは確かに難しい。この本の人は本当によくやっている。

漂流老人ホームレス社会

漂流老人ホームレス社会