佐村河内事件と著作権2

栗原潔という人のブログにこの事件の著作権との兼ね合いがわかりやすくまとめられていた。それによれば自分が疑問に思った職務著作については「雇用関係がない請負であれば職務著作にあたらないというのが多数説」とのことなのでこのばあい職務著作にならないらしい。なので著作者が佐村河内氏でないのはほぼ確定。一方著作権については「ゴーストライティング契約の成立により著作権は佐村河内側に譲渡されている」ことになるので著作権はすでに著作者の手元にはなく、今回の騒動に関わらず佐村河内側が法的に持っていることになる。だから新垣氏がいくら著作権放棄と言っても残念ながら無効です。ついでに著作者人格権の氏名表示権についてもゴーストライティング契約の成立により主張することはできないと見られるらしい。さらに著作者でないものを著作者と表示することに対する罰則121条があるのだが、これも複製物を頒布したものとなるのでその対象はレコード会社ということになって佐村河内ではない。ということで意外なことにゴーストライティング契約の成立により著作権上は今回の騒動はなにも問題がないことになる。もちろんゴーストライティング契約は公序良俗違反で無効なのだが、無効になっても権利関係はそのままということだ。詐欺が成立する可能性を指摘する記事は多いが誰に対してどのような詐称によりいかなる被害をもたらしたかよくわからない。対価としての音楽は立派なものを渡しているわけだから。騒動と違法性はまったく比例しなくて面白い。