なぜ50kWで追尾式の太陽光が理想的なのか

原発が止まり発電は化石燃料に頼っているが、それは温暖化にとっては問題だ。化石燃料は枯渇、高騰のリスクもあり、将来的には頼るのはよくない。原発はCO2を出さないが日本が化石燃料の分まで原発をふやすなんてことはエネルギー計画上もありえない。再生可能エネルギーはコスト高だが、それでも再生可能エネルギーを増やすことは避けて通れない。コストさえ我慢すれば再生可能エネルギーはCO2の面でも持続可能性という意味でもエネルギー安全保障という点でも優れたエネルギーである。
太陽光はその再生可能エネルギーの中でも比較的高コストなエネルギーだ。しかし、太陽光発電がすぐれているのは発電ピークが需要ピークとおおむね一致していることだ。つまり人間は昼間活動するため昼間の電力需要が大きい。太陽光発電も昼間の発電が大きい。このことにより太陽光発電は昼間の電力需要を供給できる効果があり、それは稼働率が少なく高コストな石油火力発電所の出番を減らすことになるので太陽光発電の単価が高いことは社会的には必ずしも損失にならない。
しかし太陽光は発電量が安定せず変動が大きいことも確かだ。その場合その変動量が大きいメガソーラーは電力を移送するうえで問題になる。メガソーラーは土地が必要なので田舎に作ることが多く、田舎のメガソーラー用の電力線は専用線になることが多いが、その最大電力に合った太いものをつかわなくてはいけないのにその稼働率は10%しかない。地域の電圧に与える影響も大きい。しかし50kW程度の小規模ソーラーは都会に作ることができ、一般家庭20軒程度の電力なので電線は専用にならないし、その変動も周りの配電線で十分吸収できる。太陽光発電は小規模分散型が電線の利用上も変動の吸収という点でも望ましいのだ。だから屋根に乗せるのがもっとも理想的だが、規模が小さすぎて再生エネルギーを増やすという点ではあまり効果的でない。50kW程度の小規模ソーラーはエネルギーを増加させる点でも電力線の有効活用の点でも変動吸収の点でもほどほどに効果的なのだ。
一方、太陽光発電と需要のピークは正確には一致しておらず、需要は日中はそれほど変動しないが、固定式の太陽光発電量は必ず正午付近にピークとなる。将来太陽光発電が非常に多くなった場合には需要があるが太陽光の発電が少ない朝夕にピークができてしまう可能性がある。太陽光発電側もなるべく発電は安定化させた方が望ましい。太陽追尾架台は太陽に追尾することにより、日中の発電変動を減少させ、発電量を安定化する効果がある。今後太陽光発電を活用していく上では追尾式架台を増やし、より安定した発電所を増やしている必要があるのだ。
というわけでまとめると、再生可能エネルギーはコスト高であっても増やしていかなければならず、その効果的利用の上では50kW程度以下の小規模分散型が望ましく、さらに発電量安定のため追尾式を採用しておくことが社会にとって望ましいことなのだ。理想的物件というのはそういうことであり、さらに個人が投資できるレベルであって、投資が発電量で回収でき資産形成に役立てばさらに良いのは言うまでもない。
IPCCは今世紀末にはCO2をゼロにと言っている。2012年度の日本の電力の再生可能エネルギー比率はわずか1.6%(水力別)。電力は総エネルギーの1/4だから全てのエネルギーを今世紀末までに再生可能エネルギーにおきかえるには現状の約200倍以上に増やす必要がある。あと85年しかないのだからすでにあるものの2倍を毎年継続的に作って行く必要がある。すでに結構切羽詰っている状況にあるのだ。