「データの見えざる手」

著者は日立の研究所の人。最近のポジティブ心理学によると、人の幸せ感は「共感」「積極的行動」で決まるそうだ。共感や積極的行動があると幸せ感につながるというのではなく、イコール。共感そのものが幸せ、積極的行動そのものが幸せということである。そして名刺大の加速度や赤外線や音量等が測れるウエアラブルセンサというのを作り、装着した人の幸せ感を分析すると幸せ感の高い人は活動的な時間が長いということがわかった。スーパーやコールセンターでウエアラブルセンサを社員やお客さん(スーパーの場合)に装着してもらって業績ともっとも相関の高いものを解析すると、スーパーの場合は店員の立ち位置だったり、コールセンターの場合は休憩時間のおしゃべりだったりするそうだ。いわゆる「活気」みたいなものかな。理由ははっきりしないのだが、それにより活動が活発になり、幸せ感が増大し、業績アップにつながるようだ。今の時代、人の手では不可能な膨大なデータがセンサや携帯によって得ることができ、人間が想像もしないことがデータから読み取れる時代になった。これまで科学技術は人間の手間を省くことを目標に発展してきたが、これからは逆に人間が活発に動けるように、そしてそれにより幸せ感がアップするように発展するかもしれない。というような話。個人レベルでは、活発化により幸せ感が増大するとわかっているならそういう工夫はデータがなくてもすぐにある程度できるかもしれないが、大きな社会的な目で見ればこういう方向で発展すれば想像もしないような未来が見えてくるかもしれない。それにしてもこういう話をみると、共感できない人をトップに据えるなんて行為は業績ダウンに直結することは明らかだね。