原発の話題

津地裁原発停止の仮処分が出た。おそらく上級審で覆ることになるのだろうが、電力会社の考える原発の訴訟リスクは高くなった。今後一定割合でこのような判断が出ることを考慮せざるを得ないだろう。莫大な安全投資をしても回収できる確率が低くなったということだ。一般市民をだましたりすかしたり忘れさせたりして原発を動かすというのはもうできなくなったと考えるべきだろう。
原発はいわば強力な抗がん剤だ。うまく使えば二酸化炭素を削減し電力を安くできる救世主だが、副作用が起きれば地域を汚染し破壊する。医療の分野ではそのような強力な抗がん剤は薬としての安全性は確認できていても副作用の恐れを無くせないので、そのリスクを十分に説明した上で患者が使用可否を判断する。いわゆるインフォームドコンセントだ。なぜか原発の分野では患者がリスクを心配してもリスクは十分説明されず患者が使用を拒否すると素人が文句を言うなと怒られる。それはおかしいだろう。リスクを引き受ける側が引き受けるかどうかを判断できるようにすべきだ。
ところで「考証 福島原子力事故 炉心溶融 水素爆発はどう起こったか」という本を買ってみた。まだきてないが。注水しなければ炉心は溶融しなかったというびっくりするような考察だ。これが正しいとすると東京電力は事故対応を完全に間違えたことになるのではないか。菅総理が心配したように、制御棒だけ解け落ちて燃料棒がとけてなければ水を入れれば再臨界の危険があることにもなる。水をいれなければジルコニウム反応もなく、水素も発生せず、圧力も高まらず、福島事故は回避できたのではないのか?こんな全く事故対応が違ってくるような見解が今になってでてくるのはおかしくないのか?従来の原発の事故想定は工学的に間違っていたのではないのか?「工学的に正しい情報」はどこへ行った?これが正しいとなると疑問がいろいろでてくる。

考証 福島原子力事故 炉心溶融・水素爆発はどう起こったか

考証 福島原子力事故 炉心溶融・水素爆発はどう起こったか