「素粒子の世界を拓く」


副題は「湯川・朝永から南部・小林・益川へ」。もとは湯川、朝永の生誕100年を記念して書かれた本で3氏が新たにノーベル賞をもらったのでその辺を付け加えた本。3氏の説明はいかにも付け足した感じであまり詳しくない。やはり湯川・朝永の解説が面白い。湯川の中間子論で素粒子物理は発展したが、現在の標準理論といわれている物理学の王道に近いのは朝永の方であるらしい。湯川の業績は中間子論とひとことであらわせるが朝永の業績はくりこみ理論だそうだがいま一つピンとこない。前に「0から無限へ」だったか、0と無限大に関する本を読んだ時に物理はいかに無限大を回避するかで発展してきたという記述があったがくりこみ理論はそれであるらしい。どうも邪道な手法のようであるが実験とよく合うので評価され、発展したようである。中間子論については場の量子論を言葉で解説したところがあって、いままでにあまりみたことがなかったのでああ、なるほどと思った。まあこの辺の物理はもはやついていけるところではないが星の間を散歩するような感じでわからなくてもときどき読んでみるのもいい。